ITIL 徒然草

ビジネス・ケース


ビジネス・ケースという用語は「事例」と訳されることもありますが、本来は別の意味で使用されるようです。ITIL の中では次のように説明されています。

ビジネスケースは、事業行動によってもたらされる結果を明確に伝えるものであり、意思決定や計画立案の際に用いられる道具である。

サービスマネジメントに適用すれば、サービス供給によってもたらされる結果、コスト、リスク等、 投資価値を説明するものです。しかし、他の文献でも『ビジネス・ケース』と そのまま訳されることが多く、具体的なイメージを思い浮かべることなく読み飛ばしてしまう方も 多いのではないでしょうか。

個人的には『企画書』をイメージしながら、ビジネス・ケースという言葉を使っています。 典型的なビジネス・ケースには、次のような内容が含まれています。

  • サービスが追求する事業の達成目標
  • コストの負担方法や期間などの前提条件
  • 財務面での損益
  • 非財務面での損益
  • リスク要因(異なる結果が生じる可能性)
  • 推奨される具体的な行動


  • ビジネス・ケースを作成する際に注意しなければならないのは、文書の厳密さと詳細さを区別する ことだと言われています。つまり、詳細さは物事を複雑にする可能性があるので、どの構成要素に 注意を払うべきかを特定し、枝葉を切り捨てることも必要です。

    ビジネス・ケースは、投資判断にとって重要な情報であり、サービスを比較する サービス・ポートフォリオの一部として管理されます。

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