ITIL 徒然草

戦略の4つのP


一般に開催されている ITIL の講習会の多くは、受講者がファウンデーション という資格を取得することを目的としたトレーニング・コースになっています。ITILの書籍の中から 決められた範囲で試験問題が出題されるため、選択されたキーとなる概念を幅広く普及させる 重要な役割を担っています。

残念なことは試験範囲から漏れてしまった概念やベストプラクティスのほとんどは 決して脚光を浴びることがないという事実です。そんな中からいくつかの話題を 拾い上げてみたいと思います。

最初に取り上げるのは、「戦略の4つのP」です。 考慮すべきサービスマネジメントの構成要素には人材(People)、プロセス(Process)、 製品(Product)、パートナ(Partner) という「4つのP」がありますが、「戦略の4つのP」は この4つではありません。

サービス・プロバイダの観点(Perspective)、ポジション(Position)、計画(Plan)、 パターン(Pattern) です。ミンツバーグ(Mintzberg) は、サービス戦略がこの4つ の形式のいずれかで示されると言っています。

観点(Perspective) は、組織のビジョンや方向性を意味します。事業における哲学や サービス供給についての原則です。高級で高価なサービスを供給するのか、 それとも利用しやすい廉価なサービスを供給するのかなど、戦略はその組織の方針です。

ポジション(Position) は、組織の相対的な位置づけであり、戦略上の観点と ターゲット市場や顧客からのニーズに左右されます。高級で高価なサービスでも、 どのような顧客に対してどんなサービスを供給するかなど、市場における その組織の位置づけを定義します。

計画(Plan) は、戦略的ポジションに到達するための手段です。計画は、 サービス・ライフサイクルの各ステージにおいて、戦略的ポジションを確立するための 能力とリソースを確保し、戦略の意図を行動に変えます。つまり、サービスマネジメント の計画を意味しています。

パターン(Pattern) は、サービスのライフサイクルを通して実行される行動パターンです。 サービス・プロバイダはサービス供給の経験を通じて確立された一連の行動と判断を繰り返します。 この繰り返される行動と判断がパターンです。

サービス戦略の「4つのP」は、サービス・ライフサイクルの全ステージに影響を与えます。 また、パターンである行動と判断の結果は、継続的サービス改善によってポジション計画にフィードバックされます。

サービスプロバイダは、その一部ではなく「4つのP」すべてを、想定されているサービスと 新たに生み出されるサービスの戦略に適用します。

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