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PMBOKとの相違点(3)


これまで、プロジェクトのガバナンスに関して、 2つのプロジェクト管理手法の相違点について言及して参りました。 ただ、誤解がないように補足させていただきますが、 PMBOKが、プロジェクトのガバナンスについて触れていないわけでも、 PRINCE2の手法を否定しているわけでもありません。

PMBOKは、プロジェクトのガバナンスは、 組織構造に左右されると指摘しています。 PMBOKは組織構造を、機能性を重視する機能型、 プロジェクトを重視するプロジェクト型、 その中間に位置するマトリックス型に分類しています。 そして、組織構造のタイプによって、 プロジェクトの運営の仕方は変わってくるという説明しています。 マトリックス型ではさらに、 プロジェクト・マネージャに与えられる権限レベルにも、 運営方法は依存していると指摘しています。

このようにPMBOKは、 プロジェクトの様々な領域における知見を体系立てて説明しています。 これは、ガバナンスに関する説明だけに限られたことではありません。

例えて言うと、PMBOKは、 「受験勉強のやり方には、Aの方法、Bの方法、Cの方法があります。 どのやり方をどのレベルで行うかはあなた次第です。」 といった形で説明しているので、自由度の高いアドバイスになっています。 ただ、自由度が高いことはよいことばかりではなく、 PMBOKのプロジェクト管理プロセスを どのように組み立てるかを計画するためには、それなりの知識と経験が求められます。

一方、PRINCE2は、 「受験勉強はこのようにすべきだ。 ただ、あなたの今までのやり方も考慮して、気に入った部分だけを採用することもできますよ。」 といった形の説明を行っています。 そういった意味では、PRINCE2のプロジェクト管理手法は、 推奨事項が単純化されており、わかりやすいと言えるかもしれません。

日本では、PMBOKがプロジェクト管理のバイブル的存在となっていますが、 PRINCE2の管理手法に耳を傾けることは、 プロジェクト管理に対する視野を広めてくれることになるのではないか思っています。

次回は、2015/5/10の予定です。

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