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プロセス


本話では、PRINCE2 の4つの構成要素の1つであるプロセスを取り上げます。 PRINCE2 は、 プロジェクトのさまざまな局面に存在するプロセスとその責任者に注目しています。 PRINCE2が注目しているプロセスは次の7つです。

・SU (Starting up a Project) --- プロジェクトの準備
・DP (Directing a Project) --- プロジェクトの監督
・IP (Initiating a Project) --- プロジェクトの立ち上げ
・CS (Controlling a Stage) --- ステージのコントロール
・MP (Managing Product Delivery) --- 成果物の管理
・SB (Managing a Stage Boundary) --- ステージ境界の管理
・CP (Closing a Project) --- プロジェクトのクローズ


それぞれのプロセスには、 プロジェクト成功のために実施しなければならないいくつかの活動があります。

1. プロジェクトの準備 (SU : Starting up a Project)

プロジェクトの準備は、 PRINCE2で最初に実施されるプロセスです。 目的は、次の質問に答えることです。

「そのプロジェクトは実行可能で、利益をもたらすものか?」

全てのプロジェクトにはアイデアがあります。 しかし、良いアイディアだけとは限りません。 この期間、プロジェクトの意思決定機関であるプロジェクト・ボードに十分な情報を集め、 良いアイディアだけを拾い上げます。 よく吟味されたプロジェクトだけが投資に見合う価値を組織にもたらします。 このプロセスは、プロジェクトを立ち上げるための活動であり、 プロジェクトを実施する前のプロセスと言えます。

2. プロジェクトの監督 (DP : Directing a Project)

プロジェクトの監督は、プロジェクトが終了するまでの間、 常にプロジェクト・ボードによって実施されるプロセスです。 このプロセスは、 プロジェクトが事業上の正当性を有するか否かを判断することを、 プロジェクト・ボードに対して要求します。 事業上の正当性が認められれば、 プロジェクト・ボードは次のステージに必要なリソースを用意することを約束します。 プロジェクト・ボードはまた、プロジェクトの進捗状況を監視し、 プロジェクト・マネージャからの報告される、変更、例外、 リスクに対する意思決定を行います。

3. プロジェクトの立ち上げ (IP : Initiating a Project)

プロジェクトの立ち上げは、 プロジェクト・マネージャによって実施されます。 このプロセスの期間中に、プロジェクトの基盤が確立されます。 組織は、膨大な出費をする前に、 プロジェクトで何が実施されるかを把握します。 プロジェクト計画や詳細なビジネス・ケースだけでなく、 リスク、変更、品質、そして、 コミュニケーション手段を管理するための戦略を策定します。 このプロセスの最後に、プロジェクト・ボードは必要な情報のすべてを集め、 先に進めるか否かを判断します。

4. ステージのコントロール (CS : Controlling a Stage)

ステージのコントロールにおいて、 プロジェクト・マネージャは、チームに作業を割り当てるために、 実施すべきすべての活動を文書化します。 進捗を監視して、課題やリスクを管理し、 進捗状況をプロジェクト・ボードに報告し、 プロジェクトが許容範囲から逸脱しないようにします。 このプロセスは、プロジェクト立上げ後のすべてのステージにおいて実施されます。

5. 成果物の管理 (MP : Managing Product Delivery)

成果物の管理は、 チーム・マネージャによって実施されます。 プロジェクト・マネージャによって割り当てられた仕事が、 このプロセスで実行に移されます。 スペシャリストによって設計され、構築され、チェックされたすべての成果物が、 要件を満たしていることを確実にします。

6. ステージ境界の管理 (SB : Managing a Stage Boundary)

ステージ境界の管理は、 最終ステージ以外のステージの最後に、 プロジェクト・マネージャによって実施されます。 このプロセスでプロジェクト・マネージャは、 プロジェクトを続けるべきか否かの判断ができるように、 プロジェクト・ボードが求める情報を用意します。 プロジェクト・マネージャはまた、 次のステージの詳細計画を用意しなければなりません。

7. プロジェクトのクローズ (CP : Closing a Project)

プロジェクトのクローズは、 最終ステージの最後にプロジェクト・マネージャによって実施されます。 ユーザやオペレーション・チームが参加して受け入れ作業が実施され、 プロジェクトの成果物がユーザに引き渡されます。 プロジェクト・マネージャはまた、 達成事項とプロジェクトが終了した後に実施すべきあらゆる処置を報告します。 このプロセスが終了すると、 プロジェクト・ボードは、プロジェクトのクローズを宣言し、 プロジェクトとして実施すべき残作業がないことを承認します。 プロジェクト管理チームの全メンバーが、 プロジェクトに対するそれぞれの責任から解放されます。

PRINCE2 は、適切な人が正しい情報を適切なタイミングで利用して、 的確な判断ができることを確実にします。

次回は、2014/9/10の予定です。

第4話

速習! ITSM


目次

プロセス

(2014/8/10)

テーマ

(2014/7/10)

原則

(2014/6/10)

PRINCE2

(2014/5/10)

Global Best Practice

(2014/4/10)


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