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ベネフィット


PRINCE2 におけるプロジェクトの定義は、次のようなものです。

合意したビジネス・ケースによって、 事業上の成果物を提供するために構成される期限ある組織

つまり、プロジェクトは事業にとって好ましい何かを提供するものでなければなりません。 これは、 PRINCE2の原則の一つであるビジネス上の正当性の維持 (Continued business justification)」でも、明確に示されています。

そこで、「この好ましい何か」を表現する、 次の4つの基本概念を、 経理システムを構築するITプロジェクトに当てはめて説明します。

アウトプット(Output)
成果(Outcome)
ベネフィット(Benefit)
不利益(Dis-benefit)

アウトプットは、 プロジェクトのスペシャリストによる有形や無形のあらゆる成果物 です。アウトプットの中には、 プロジェクトを管理するために作成される成果物もあります。 これを、マネジメント成果物と言います。

ITプロジェクトで構築される経理システムは、 当然、重要なアウトプットですが、 その際に作成される計画書や記録文書もアウトプットの一部です。 これらの計画書や記録文書が、マネジメント成果物と呼ばれるものです。

成果は、 アウトプットを使用することで得られる変更の結果 です。

例えば、 新たな経理システムを使用するために、会計業務プロセスに変更を加えた場合、 この変更はプロジェクトの成果です。

プロジェクトの成果は、組織にとって望ましいものであるべきですが、 不都合である場合もあります。そのことを表現するために ベネフィット不利益という用語があります。

ベネフィットは、 ステークホルダが利点とみなす成果から導かれた測定可能な改善です。 不利益 は、 ステークホルダが負の成果とみなす成果です。

変更された会計業務によって、人件費が抑制されたり、業務が効率化されたならば、 それは、このプロジェクトがもたらしたベネフィットです。 逆に、新しい経理システムに不具合があって、事業に損失が生じれば、 それはプロジェクトがもたらした不利益にあたります。 また、このシステムの運用コストが、 従来の運用コストを下回ればベネフィットですし、 上回るようであれば不利益 ということになります。

次回は、2014/10/10の予定です。

第5話 第7話

速習! ITSM


目次

ステークホルダ

(2014/10/10)

ベネフィット

(2014/9/10)

プロセス

(2014/8/10)

テーマ

(2014/7/10)

原則

(2014/6/10)

PRINCE2

(2014/5/10)

Global Best Practice

(2014/4/10)


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