ITIL 徒然草

従うべき原則


昨年(2017年)の初めに、AXLELOSからITIL Practitioner Guidanceの日本語版がリリースされました。 タイトルは、「ITIL(R)プラクティショナ ガイダンス」です。 実務者向けのサービスマネジメント実践の手引書として出版されたこの本の第2章には、 従うべき原則(Guiding Principles)として、以下の9の原則が示されています。

1.価値に注目する (Focus on value)
2.経験をデザインする (Design for experience)
3.現状からはじめる (Start where you are)
4.包括的に働く (Work holistically)
5.反復して進化する (Progress iteratively)
6.直接観察する (Observe directly)
7.みえる化 (Be transparent)
8.協働する (Collaborate)
9.シンプルにする (Keep it simple)

言われてみれば当たり前のことですが、 なぜ、この原則が最初に示されているかについて執筆者の意図を想像すると、 現実の世界ではこの原則が守られていないことが多いということでしょう。
この章では、そのぞれの原則の意味を解説しているのですが、 最後に「従うべき原則を適用する (Applying the Guiding Principles)」という節があり、 次のような内容が記されています。

このガイダンスで紹介している原則は、ITILに固有のものでも、ITSMに固有のものでもありません。 …(中略)…こうした原則を軽視すると失敗に終わることが多いと、 長年にわたる経験が示しているとも言えます。 …(中略)…
(マルチフレームワーク環境について)各手法の純度にはあまり固執しないことです。 …(中略)… 組織のニーズに合わせてそのガイダンスを柔軟に適用させなければ、成功は望めません。

『ITIL(R)プラクティショナ ガイダンス(P27-28)』

一見、矛盾していることを言っているようですが、 まとめると次のようなことを述べていると理解しました。

それぞれのフレームワークは従うべき原則を実践するための手段であり、 各フレームワークのルールに固執するのではなく、原則に従うことの方が重要である。

第193話 第195話