今年(2016年)の初めに、AXLELOSから ITIL Practitioner Guidance というタイトルの本が出版されました。
この本は文字通り、実務者向けのサービスマネジメント実践の手引書です。 コア書籍には、ITILが提唱する サービスマネジメント・フレームワークのそれぞれの領域におけるベストプラクティス が体系的に記されていました。
このプラクティショナ・ガイダンスには、 個々の領域ではなく、包括的でより具体的なアドバイスが示されています。
例えば、この本の冒頭には、 適用して調整するというITILの利用法(Using ITIL - adopt and adapt) についてのアドバイスがあります。 これは、コア書籍に記されていることを機械的に適用するのではなく、 組織の現状とベストプラクティスの意味を理解して適用し、 フィードバックを反映させながら継続的に調整しなければならないことを意味しています。
このように、個々のプロセスにフォーカスを絞るのではなく、 あらゆる改善活動に共通するサービスマネジメントの要点が簡潔にまとめられており、 次のような章立てで、150ページ程度で構成されています。
第1章 導入 (Introduction)
この章には、ITILがサービスマネジメントで用いる基本的な用語や概念の意味を、 深く掘り下げて説明しています。
第2章 指針 (Guiding principles)
サービスマネジメントの実践において、 判断や行動の拠り所となる方針が示されています。
第3章 CSIアプローチ (The CSI approach)
継続的サービス改善アプローチを適用しようとしている実務者向けに、 行うべき具体的な活動とその際に注意すべき考慮点が示されています。
第4章 測定基準と測定方法 (Metrics and measurement)
測定の意味、種類、設定の仕方やその際の考慮点、 アセスメントや報告の要点、 測定と測定方法に対する継続的改善の重要性等の説明がなされています。
第5章 コミュニケーション (Communication)
成功でも失敗でも、コミュニケーションの品質が主な要因であることから、 コミュニケーションの重要性と原則を示し、 サービスマネジメントの各場面のおける適用例を説明しています。
第6章 組織の変更管理 (Organizational change management)
変更が人に与える影響への対応についての助言であり、 利害関係者管理や抵抗管理など、 サービスマネジメントだけではなく、 組織の変更やプロジェクトやプログラムの管理に適用できるアドバイスが記されています。
第7章 ツールキット (Toolkit)
サービスマネジメントを導入する際に参考になりそうな各種ワークシートや技法が、 具体的なイメージとともに紹介されています。
現時点では英語版しか入手することはできませんが、 将来的には日本語版がリリースされるようです。