ITIL 徒然草

狩野モデル


前回までは、問題管理の手法を取り上げてきましたが、 今回はサービスストラテジの中から狩野モデルを紹介します。 狩野モデルは、顧客満足モデルとも呼ばれ、 東京理科大学名誉教授の狩野紀昭氏が示した、次のような考え方に基づく理論です。

顧客の目には製品やサービスの要素すべてが等しく映っておらず、 製品やサービスの改善が、必ずしても顧客満足度の向上につながるわけではない

狩野氏は、製品やサービスの要素を、顧客満足度の観点から次の5つに分類しました。

・基本品質要素
・魅力品質要素
・性能品質要素
・無関心品質要素
・逆品質要素

基本品質要素(Basic factor)
当たり前品質要素とも呼ばれ、提供されることが当然と見なされており、 提供されなければ不満を与える要素です。

魅力品質要素(Excitement factor)
魅力的品質要素とも呼ばれ、提供されなくても不満に感じないが、 提供されることで満足度が向上する要素です。

性能品質要素(Performance factor)
一元的品質要素とも呼ばれ、不足すれば不満につながり、 高いレベルで提供されるほど満足度が向上する要素です。

無関心品質要素(Indifferent factor)
ITILでは、無関係属性(Indifferent attribute)という表現で説明されており、 満足にも不満足にも影響を与えないサービスの属性です。

逆品質要素(Reversed factore)
ITILでは、逆属性(Reversed attribute)という表現で説明されており、 提供されるほど不満を感じ、提供しないほど満足度が向上する要素です。

狩野モデルでは、「顧客によって、より重要な属性とそれほど重要でない属性がある」という、 至極当然のことを主張しているのですが、それに加えて、 製品やサービスにおけるそれらの属性の充足度と顧客満足度の相関関係を、 誰もが納得する図で表現しました。 (コア書籍をお持ちの方は、サービスストラテジの166頁[2007年版]、103頁[2011年版]をご参照ください。) 同様のグラフはこのサイトでも紹介されています。

サービスプロバイダが、 サービスが持つべき属性や差別化するための属性を判断するためには、 顧客や市場との広範な意見交換が必要です。 狩野氏は、製品やサービスの属性が基本品質要素魅力品質要素性能品質要素のいずれかを見極める方法として、 狩野モデルの評価表という判定手段を提示しました。

次回は、2014/2/25の予定です。

第187話 第189話

演習システム試用版


目次

狩野モデルの評価表
(2014/2/25)

狩野モデル
(2014/2/10)

パレート分析
(2014/1/25)

石川ダイアグラム
(2014/1/10)

テクニカル・オブザベーション・
ポスト
(2013/12/25)

仮説検定
(2013/12/10)

親和図法
(2013/11/25)

障害の分離
(2013/11/10)

なぜなぜ分析
(2013/10/25)

ブレインストーミング
(2013/10/10)

ケプラー・トリゴー
(2013/9/25)

痛みの値分析
(2013/9/10)

時系列分析
(2013/8/25)

MoSCoW分析
(2013/8/10)

ITIL® のバージョン
(2013/7/25)

サービス憲章
(2013/7/10)

変更提案
(2013/6/25)

RACIモデル
(2013/6/10)

サービス・タイプ
(2013/5/25)

7ステップの改善プロセス
(2013/5/10)

成果
(2013/4/25)

ガバナンス
(2013/4/10)

測定基準
(2013/3/25)

CSI管理表
(2013/3/10)

外部顧客
(2013/2/25)

内部顧客
(2013/2/10)

ベストプラクティス
(2013/1/25)

MALC
(2013/1/10)



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