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ステークホルダ


どんなプロジェクトでも要求され、また、重要なことは、 プロジェクトに影響を与えたり、影響を受ける人やグループの利害を調整することです。 一般に利害関係者、あるいはステークホルダと言いますが、 PRINCE2においてもステークホルダ間の利害調整は最も重要な課題の1つです。

日本には根回しという言葉があるように、 プロジェクトの世界に限らず、自身が組織の中で目標を達成しようとすれば、 ステークホルダを味方につける、最悪でも敵に回さないことが不可欠です。 よりオープンな西洋の組織では、 ステークホルダの代表者からなる会議体を作り、 関係者の意思決定とその後の行動を推進するという手法が常道です。

PRINCE2においても、利害を調整するための会議体が提唱されており、 それがプロジェクト委員会(Project Board)です。ちなみに、このサイトでは、 プロジェクト・ボードと訳していましたが、 PRINCE2の用語集に従い、今後はプロジェクト委員会という言葉を使います。

PRINCE2では、少なくても2つの組織体3つのステークホルダが存在することが前提となっています。 2つの組織体とは、顧客サプライヤであり、 それにユーザを加えたものが3つのステークホルダです。

顧客は、プロジェクトに期待する成果を定義しその代価を払う人やグループ、
サプライヤは、 プロジェクトが期待する成果を提供するように資源とスキルを提供する人やグループ、 そして、
・ユーザは、プロジェクトの成果物を利用する人やグループです。

PRINCE2のプロジェクト委員会には、少なくともこの3つのステークホルダ の代表が含まれていなければなりません。 そのことが言及されているPRINCE2の原則を、ここで思い起こしてみましょう。

【定義された役割と責任】
PRINCE2のプロジェクトには、 ビジネス、ユーザ、そしてサプライヤの利益を約束する、 組織構造を伴う役割と責任が定義されている


ここで出てくる組織構造の中核がプロジェクト委員会であり、 不可欠な構成メンバーが、それぞれステークホルダの代表者であるエグゼクティブシニア・ユーザシニア・サプライヤなのです。

PRINCE2には、コーポレートまたはプログラム管理 (Corporate or Programme Management) という表現がよく出てきますが、これが、プロジェクトに資金を供給するスポンサーです。 そして、このコーポレートまたはプログラム管理プロジェクト委員会に送り込む顧客の代表者がエグゼクティブです。

シニア・ユーザは、 プロジェクトの成果物を使用するユーザの利益を代表します。

シニア・サプライヤは、 プロジェクト成果物を設計、開発、推進、調達、実装するサプライヤの利益を代表し、 提供された成果物の品質に対して責任を負います。

次回は、2014/11/10の予定です。

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