マネジメント段階も、 PRINCE2を理解する上で欠くことのできない概念です。 PRINCE2 には、段階による管理と呼ばれる次のような原則があります。
プロジェクトの計画立案、監視、コントロールを段階単位で実施する
既に前話において、 プロジェクト委員会は、 あらかじめ決められた期間単位でプロジェクトの管理をプロジェクト・マネージャに委託し、 この管理単位をマネジメント段階と呼んでいるという話を致しました。
プロジェクトの各段階には、 プロジェクト委員会のためのコントロール・ポイントを用意します。 プロジェクトがその価値が引き続き有していることを確実にするために、 各段階の終了時には、 プロジェクトの状況を評価する同時に、 ビジネスケースや計画をレビューして、プロジェクトを継続するか否かを判断します。
つまり、PRINCE2は、プロジェクトに対する最終的な責任を持つのはプロジェクト委員会、 日常の管理責任はプロジェクト・マネージャという形で、 それぞれの責任と役割を明確に定義し、 プロジェクト管理に秩序を与えているのです。
プロジェクトは、その成果物がもたらすベネフィットを求めて組織が実行するものです。 従って、プロジェクトが利益を生み出さないことが判明したら、 軌道を修正したり、中断したりする意思決定が必要です。 しかしながら実際には、たとえ利益を生み出すことが不可能であると判明しても、 組織が新たな意思決定をすることは簡単ではありません。 組織として、最善の意思決定ができるような仕組みが必要です。
プロジェクト委員会の最大の存在価値は、そこにあります。 プロジェクト委員会は、 コーポレートまたはプログラム管理によって設定された制約条件の下で、 プロジェクトの指揮と管理に対する全面的な責任を負い、 プロジェクトを成功に導く責任がある、最上位の責任グループなのです。
しかし、組織の運命を左右する意思決定を下す役割を担うほどの人物が、 プロジェクトの管理に没頭するわけにはいきません。 そこで必要になるのが、段階による管理です。 プロジェクト委員会は、 マネジメント段階単位でプロジェクトと事業間の整合性を確認するのです。
プロジェクト委員会のプロジェクト管理を支援する仕組みとして、 もう一つ、例外による管理と呼ばれる原則があります。 次回は、そのことについて説明したいと思います。
次回は、2015/1/10の予定です。