ITIL 徒然草

達成目標の設定


戦略的アセスメントによって、プロバイダが最終的に目指すことは、 プロバイダ自身の達成目標を設定することです。明確な達成目標は、 意思決定の際の判断基準となります。判断基準がぶれないことで 一貫性のある意思決定がなされ、組織内に生じる対立を 最小限に止めることができます。

サービスの達成目標は、主に以下の3つタイプに分類することができます。
- 顧客の業務を支援する
- 顧客の求める成果を実現する
- 顧客の目標達成を阻害する要因を排除する

プロバイダは達成目標を設定するために、ソリューション仕様ニーズ利点を議論することになりますが、それぞれの アプローチが抱えるリスクも理解する必要があります。

専門知識が不足している顧客が提示するソリューションに沿った プロバイダの提案に、顧客が落胆することがあります。 例えば、顧客のアイディアを取り入れたソリューションが 予算をはるかに超えているケースです。プロバイダは、 顧客の思いつきより、その背景にある顧客がサービス に求めている価値に注目すべきです。

顧客はインフラストラクチャの仕様という形でサービスの要件を 示すことがあります。仕様が前提になることで、プロバイダが 提供できる最良のソリューションを検討する機会が 奪われてしまう可能性があります。

顧客がサービス品質に対するニーズという形でサービスの要件を 示すこともあります。例えば、「サービスの可用性を99.9%とする」といった 要件です。顧客の事業との関連性が不明確な場合、 そのニーズを満たすことが顧客の事業目標達成を支援する ことができるか否かが不明確です。

顧客がサービスの要件をサービスから得られる利点として 提示することもあります。「高い信頼性のあるサービス」や、 「より迅速な対応」といった要件は、抽象的で曖昧です。

顧客に提案するサービス要件を決定する際に最も重要なことは、 顧客の事業目標を理解することであるというのが、 ITILが示すグッドプラクティスです。 事業目標の達成度を評価する指標を知ることによって、求められる サービスの有用性と保証をより明確に理解できるようになります。

この有用性と保証によって導かれるサービスの価値を 提供することが、プロバイダにとっての達成目標になります。

次回は、2010/08/10 の予定です。

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