コンポーネント・キャパシティ管理は、サービスを供給するITリソースに 焦点を当てたキャパシティ管理の活動です。 ITIL V2 ではリソース・キャパシティ管理と呼ばれていました。
サービス・キャパシティ管理が応答時間や処理時間など、利用者が感じる サービスレベルに注目するのに対して、コンポーネント・キャパシティ管理は サービスを構成するインフラストラクチャとその技術に注目します。
コンピュータのリソース管理は、サービスマネジメントの概念が 生まれるはるか以前から実施されてきました。 言わば、コンピュータの誕生と同時に生まれ、一緒に発展してきた活動です。
特にコンピュータの黎明期には、構成するすべての要素が希少で高価でしたから 、いかに効率よくITリソースを利用するかという課題が、IT技術者の最も大きな関心事でした。 仮想メモリの技術もまた、メモリという高価なITリソースをいかに有効に利用するかという 必要性から生まれてきた技術です。
その後、CPUやネットワークなどの処理性能は飛躍的に向上し、 メモリやディスクなどの容量は大幅に増加しました。また、 それらの調達コストも劇的に下がり、ITリソースに 関する多くの悩みは解消されました。しかし、だからといって コンポーネント・キャパシティ管理の必要性が失われたではありません。
ITがますます重要な場面で利用されることになり、我々の 生活の一部になりました。リソース不足によるサービスの中断は あってはならない出来事になつつあります。リソースの枯渇による サービスレベルの低下は、事業活動や顧客満足度、そして企業イメージに 深刻なダメージを与えることもあります。
コンポーネント・キャパシティ管理は、継続的にリソースの使用状況や パフォーマンスを監視、分析します。また、分析結果に基づいてサービスの構成要素を チューニングし、期待されているサービスを効率よく提供します。
このような活動を実施するためには、サービス供給に使用されている 技術を深く理解し、構成しているリソースの特性に精通していなければなりません。 多種多様な技術と製品が混在する今日のコンピューティング環境では、 汎用機、サーバ、PC、データベース、ネットワーク、OS、アプリケーションなど、 それぞれの専門技術者が分担してコンポーネント・キャパシティ管理 に関わっていく必要があります。
次回は、2010/01/25 の予定です。