可用性管理は、顧客が期待する可用性でサービスを供給することに責任を持つプロセスです。 可用性管理にとっての最大の課題は、可用性にはお金がかかることを事業側に 理解してもらうことだと言われています。 ありがちなのは、どんなサービスであっても24時間365日使えるようにして 欲しいというように、サービスの可用性に過大な期待を抱かれてしまうことです。
かなりの難題ではありますが、サービスの可用性とそれにかかるコストの関係を 丁寧に説明することで、それぞれの事業領域で可用性に対する適切な 期待値を持ってもらう必要があります。 そのためには、それぞれのサービスに求められる 可用性の質を把握しておかなければなりません。
同じ長さの停止時間でも、事業の繁忙期に発生するサービス停止と、 閑散期のサービス停止では、ビジネスへのインパクトが異なります。 繁忙期に停止しないサービスの方が可用性管理の質は高いと言えます。
可用性は従来からサーバの稼働率など、プロバイダの観点から測定されることが多いのですが、 事業側の観点を取り入れることによって可用性管理の質を高めることができます。 ユーザ(事業)が感じる可用性は、次の3つの要素からの影響を受けます。
- サービス停止の頻度
- サービス停止時間の長さ
- インパクトの範囲
ユーザ(事業)にとっての可用性を反映させるための方法として、 次の2つのアプローチが考えられます。
【利用時間の損失による影響】
停止時間に、影響を受けたユーザ数を掛けた数に基づく方法です。会計業務など、 ユーザ(事業)の生産性を支援するサービスに適しています。事業側が本来の状態に 戻るためにかかった残業代などを含める場合もあります。
【事業トランザクションによる影響】
停止時間に処理されなかった事業上のトランザクションの数に基づく方法です。 販売業務など、顧客とのやり取りを支援するサービスに適しています。
次回は、2010/06/25 の予定です。