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PMBOKとの相違点(2)


前回はPRINCE2PMBOK最も大きな相違点として、 誰が何を判断材料として、 プロジェクトをコントロールするかに対する考え方であるという話をしました。

そして、PMBOKは、 利害関係者の合意事項であるプロジェクト・チャーターが判断基準となり、 プロジェクトにおける判断はプロジェクト・マネージャが全権を持って行い、 全体をコントロールすると説明しました。

また、PRINCE2の場合、最終的にはプロジェクト委員会が、 プロジェクトに関する意思決定を行う構造になっているという話をしました。 ただ、意思決定をする際の判断基準が何かという話はまだしておりません。 今回はそれ、すなわちPRINCE2における意思決定の判断基準がテーマです。

結論から申し上げると、プロジェクト委員会は、 ビジネスケースの正当性の観点からプロジェクトに対する意思決定を行います。 これが、「ビジネス正当性の継続」と呼ばれるPRINCE2の原則の1つです。 ビジネスケースは、プロジェクトの始動段階で作成され、 プロジェクトの立ち上げ段階で詳細化され、 プロジェクト委員会によって承認されます。 このビジネスケースが、 PMBOKにおけるプロジェクト・チャーターにあたります。

PMBOKとの違いは、承認された時点におけるビジネスケースの正当性を、 プロジェクト進行中にプロジェクトの実行責任者ではなく、 説明責任者がチェックする仕組みを規定しているという点です。 しかも、判断基準となるビジネスケースもレビューされ、 必要があれば修正されます。 「ビジネス正当性の継続」「段階による管理」 という原則を組み合わせることで、「死の行進(Death March)」といわれる 失敗プロジェクトの無意味な継続を防ぐことができます。

長期間に渡るプロジェクトにおいては、 内外の環境が変わって、 プロジェクトが本来目指している目的が達成できないことが明らかになることがあります。 しかし、いったん動き出したプロジェクトを途中で止めることは容易なことではありません。 プロジェクトを中断させるためには、 関係者を納得させるだけの大義名分が必要になるものです。

「ビジネス正当性の継続」「段階による管理」は、 プロジェクトの現場から少し距離を置いた最終責任者に、 ガバナンスを提供する仕組みです。 つまり、プロジェクトに対するコントロール・ポイントを設定することで、 投資判断が分割され、プロジェクトの暴走を防ぎ、 組織の秩序が保てるのです。

PMBOKにおいて、このようなコントロール・ポイントを設けてはいけないという規定はありません。 PRINCE2の原則を取り入れることによって、 PMBOKプロジェクトにより適切な秩序をもたらすことができます。 これが以前にお話しした、PMBOKとPRINCE2の併用という考え方です。

次回は、2015/4/10の予定です。

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