RACIモデルは、「職務権限マトリックス」、「RACIマトリックス」、 「権限モデル-RACI」など、 ITIL の中では珍しく安定した呼び方がない概念です。呼び方は不安定ですが、 概念そのものは、役割や責任を割り当てるツールとして、バージョン2の時代から紹介されてきました。 (注:バージョン1でも紹介されていたかどうかは把握しておりません。)
RACIの「R」、「A」、「C」、「I」は、それぞれに次のような意味があり、 利害関係者がそれぞれのプロセスや活動にどのように関わるかを表現するために利用されます。
実行責任者(R:Responsible) - 該当する業務の遂行に責任を持つ実行責任者
説明責任者(A:Accountable) - 該当業務の結果に責任を持つ説明責任者
協議先(C:Consulted) - 相談を受け、意見を求められる複数の人や組織
報告先(I:Informed) - 進捗について最新の情報を受け取る人や組織
支配人 | 料理長 | ウェイター/ ウェイトレス | |
注文を受ける | A | C/I | R |
料理を作る | A | R | I |
料理を配る | A | C/I | R |
会計をする | A/R | - | R |
食器を洗う | A | R | R |
このケースの場合、レストランで実施すべき仕事を縦軸に並べ、 横軸にはレストランを運営するために必要な人員を配置しました。 すべての業務に「R」が割り当てられており、 これにより、レストランを運営するために必要な業務が網羅され、 責任の所在が明確になります。
あらゆる活動に「A」がついている支配には、すべての活動の結果に責任を持っています。 ですから、料理長やウェイター/ウェイトレスに職務を遂行できる環境を整備するとともに、 指導や支持を行って適切に業務を遂行させる義務と権限を持っていなければなりません。
このツールを利用する上での注意点としては、「A」、すなわち説明責任者は、ただ1人に割り当てるということです。 最終的な説明責任者がいないことも、複数いることも、組織に混乱をもたらすからです。
この役割分担を明確に表現するツールは、 どんな階層にでも、 どんな業務にも、また、どんな組織や人に対してでも適用することができます。 利害関係者のそれぞれの役割を直感的に把握できるので、 誰もが気軽に利用することができます。
次回は、2013/6/25の予定です。