コア書籍によく出てくるが意味が分かりにくい言葉に測定基準(metrics)という用語があります。 「継続的サービス改善」(2011年版)の91ページには次のように説明されています。
「一般に、測定基準とは標準、つまり明確な単位で定義された、測定の尺度である。」
「測定基準は、測定するべきプロセスと定量的アセスメントのパラメータまたは方法に関するシステムである。」
「測定基準は、何を測定するべきかを定義する。」
ここに挙げた3つの説明は同じ個所に連続して出てくる測定基準の説明です。 この文章を読めば読むほど混乱するのは私だけでしょうか。
測定基準は、「測定対象」と「測定方法」と「尺度(測定結果の表現方法)」を包含する概念と考えられます。 つまり、最初の文が「尺度」、2番目が「測定方法」、3番目が「測定対象」を意味していると解釈することができます。 実生活で考えると次のように当てはめることができます。
「メートル」という測定基準は、ものの長さ(測定対象)を物差し等で測り(測定方法)、 地球の4000万分の1の長さを1メートル(尺度)とします。
「秒」という測定基準は、時間の長さ(測定対象)を時計で測り(測定方法)、 1日の86,400分の1を1秒(尺度)とします。
次に、サービス測定基準の例を挙げてみます。
顧客満足度(測定対象)は、顧客の満足の度合いをアンケートで測り(測定方法)、 5段階評価の1を最低、5を最高(尺度)とします。
サービスの可用性(測定対象)は、監視ツールの記録やユーザからのインシデント報告(測定方法) に基づいて算出し、合意時間に対する利用可能時間の割合(尺度)とします。
重要なのは、測定基準には3つの意味が含まれている概念であるということに留意することです。 測定基準を1つの意味で解釈しようとすると、コア書籍の説明が十分に理解できない場合があります。
次回は、2013/4/10の予定です。