7ステップの改善プロセスは、 コア書籍「継続的サービス改善」で紹介されているプロセスで、 サービスやプロセスを着実に改善するためにやるべきことを具体的に示してくれます。
1.改善の戦略を識別する
2.測定するものを定義する
3.データを収集する
4.データを処理する
5.情報とデータを分析する
6.情報を提示して利用する
7.改善を実施する
このプロセスは、ITILが紹介する他のサービスマネジメント・プロセスとは位置づけが異なり、 むしろ、どのサービスマネジメント・プロセスにも組み込まれるべきプロセスです。
例えば、インシデント管理プロセスに当てはめてみると、 改善する戦略が「深刻なインシデントを短時間で回復させる」という方針であったとして、 それを理解したうえで深刻なインシデントの回数や復旧時間に関するデータを収集、分析し、 得られた情報やナレッジに基づいて改善を実施するということです。
このプロセスは、サービスマネジメント・プロセスだけでななく、 サービスやサービス・ライフサイクルの各段階の改善にも利用できます。 そもそもこのプロセスは、 ITILの基本信条であるデミング・サイクル(PDCAサイクル)をより詳細に説明したものであり、 ナレッジ管理で紹介されているナレッジの構築過程、 DIKWモデル(データ、情報、ナレッジ、知恵の構造)を具体的に示したものでもあります。
デミング・サイクルで説明すると、7つのステップは次にようになります。
【計画(P)】1-2、【実施(D)】3-4、【点検(C)】5-6、【処置(A)】7
また、DIKWモデルに当てはめると次にようになります。
【データ】2-3、【情報】4、【ナレッジ】5-6、【知恵】7-1
どうでもよいことですが、余談を2つほど。
【余談1】 1-2のステップは、2007年版では次のように紹介されていました。
1.測定すべきものを定義する
2.測定できるものを定義する
【余談2】 2007年版のITIL V3 がリリースされた当初は、 ITILファンデーション試験の出題範囲に含まれていましたが、 1年ほどして試験範囲から外されました。しかし、 2011年版用のシラバスには出題範囲の概念として復活しています。
次回は、2013/5/25の予定です。