サービス供給における利害関係者の1つである内部顧客の注目しましたが、 今回は外部顧客について考えてみます。
外部顧客の特徴は、サービス・プロバイダと顧客の達成目標や戦略が異なることです。 顧客の達成目標は顧客の事業の成功に直結した内容で、顧客の役員によって設定されます。 一方、サービス・プロバイダの達成目標はITサービスを提供することにより、 サービス・プロバイダ自身の事業を支えます。
例えば、会計サービスを外部顧客に提供する場合、 顧客の達成目標は会計業務の生産性を向上させることかもしれません。 しかし、プロバイダの達成目標は、顧客が満足する会計サービスを提供することで、 会計サービスからの収入を向上させることです。
外部顧客とサービス・プロバイダの間には明らかに利害の対立が存在します。 しかし、 外部顧客がサービスの価値を認め、 サービス・プロバイダに利益をもたらす対価を支払うことに同意すれば、 両者に利益をもたらすサービスの需給関係が成立します。
プロバイダにとって注意すべきことは、プロバイダの事業目標を追求するあまり、 顧客の事業目標達成を妨害しないことです。つまり、サービスからの収益を追求した結果、 サービスに対する投資効果を顧客が十分に得られなければ、サービスの需給関係を長続きさせることはできません。
外部顧客に対して、通常、サービス供給コストは明らかにされません。 サービス・プロバイダは、サービスレベルを保ちつつサービス供給コストを削減することで、 収益性を高めることができます。
今回、ご説明してきたことは当たりまえのことかもしれません。しかし、 外部顧客を内部顧客に置き換えると説明が正しくなくなることに気づかれると思います。 つまり、これが外部顧客の特徴なのです。
次回は、2013/3/10の予定です。