ITIL V3 2007年版のコア書籍における一番最初に定義されていた用語は、 サービスマネジメントで、次がサービスでした。 しかし、2011年版で最初に定義されて説明されていたのは、この成果という言葉でした。 2011年版ではその後、 サービス、ITサービス、サービスマネジメント、 サービス・プロバイダという順番で用語が定義され、説明されています。
映画のエンドロールではないので、先に出てくるから重要とは限りませんが、 やはり最初に出てくるということは著者の方々のそれなりの考えがあったのではないかと想像しています。
英語では「outcome」と表現されるこの言葉の定義は次のようになっています。
活動の実施、プロセスの遂行、ITサービスの提供などの結果。
(中略)
サービスを成果ベースで定義することによって、IT組織は事業とITの整合を超えて、 事業とITの統合へと向かう
「整合から統合へ」というのは、V3でのテーマでもあったので、 成果に注目することがサービスマネジメントにとって重要であるということを、 2011年版ではさらに強調して伝えたかったのではないか考えました。
インターネット・シッピングでいえば、 事業側の求める機能や保証が満たされた商品販売サイトであっても、 事業側にとっての成果は売り上げであり、そこから生み出される利益のはずです。 しかし、 商品販売サイトの運営を本業としているIT組織を除けば、 サービス・プロバイダは有用性と保証には責任を持つものの、 成果に対する関心が必ずしも高いとは言えません。
それは、ITが事業に意見する立場にないケースが多いので当然と言えば当然ですが、 ITが事業に意見でき、事業の成果に責任を持つようになれば、 事業とITは統合されるであろし、仮にそうでなくても、 事業の成果を理解することでサービスの要件はより成果を意識したものになるであろうという主張だと受け取りました。
さらに言えば、そこで重要な役割を果たすのが、 2011年版でかなり内容が充実した事業関係管理です。
次回は、2013/5/10の予定です。