サービス・オペレーションにおけるサービスマネジメント・ツールを機能の観点から分類すると、 サービスデスクで使用されるツールとIT運用管理で使用されるツールがあります。 サービスマネジメント・ツールも少しずつ統合されてきて、 分類すること自体があまり意味がなくなりつつありますが、 各ベンダーから提供されるツールには歴史的な背景があり、それぞれに特徴があるようです。
ITサービスマネジメント・スイートは、 サービスデスクが扱うサービス要求やインシデントと、それらに関連する 問題、変更、リリースを総合的に管理することで、 よりスムーズなサービスマネジメント活動を実現するための情報技術(IT)です。 従来、インシデントや変更を管理するために 別個に開発されてきた機能を、構成情報を管理する仕組みも含めて統合したものです。
インシデント管理を支援する機能としては、分類され記録されたインシデントの情報を一元的に管理し、 それぞれのインシデントの監視や追跡を可能にするだけではなく、過去のインシデントと照合する 機能によって解決策を参照したり、類似するインシデントから問題の存在を明らかにする ことができます。
問題管理は、ツールによって関係付けられたインシデントと構成に関する情報を参照して、 問題の調査や分析を行うことができます。また、インシデントの原因が直前に実施された変更に起因する ケースが多いので、直近の変更を抽出できることも問題管理にとっては有用な機能です。
変更管理のためには、変更要求や関連する文書を管理する機能や、 カテゴリごとの承認フローに沿って変更をコントロールする機能、 あるいは、変更のスケジュールやステータスを管理する機能などが提供されています。
要求実現におけるサービス要求の受付作業を自動化するために、 ユーザ入力画面のテンプレートとそのカスタマイズ機能を提供し、 ユーザが入力した情報をそのままサービス要求の情報として利用できる ようなツールもあります。
他にも、ITサービスマネジメント・スイートに統合されている機能はたくさんありますが、 また次の機会に取り上げてみたいと思います。
今回は、サービスデスクのツールを機能という側面から説明してましたが、 どの機能についてもどのくらいできるかはベンダーから直接聞いてみないとわからない 部分があります。また、性能や使い勝手などの操作性、自社のプロセスとの親和性、 カスタマイズの必要性やそのために必要となる作業量、 品質や価格、ベンダーの技術サポート力など、他のさまざまな側面からも検討する 必要があることは言うまでもありません。
次回は、2010/10/25 の予定です。