ITILの資格は、ファンデーションこそ有資格者が10万人を超えるメジャーなものになりましたが、 中級以上の資格に関してはまだまだ十分に認知されていない感があります。 サービスマネジメントの領域で活躍される技術者にとって、 キャリアパスとリンクする資格の認知度が低いことはあまり好ましいことではありません。 上級と初級の間にある中級の資格(インターミディエイト資格)についてはこれまでにも断片的に紹介してきましたが、 改めてその全体像をご紹介したいと思います。
今までお話ししたことは次のことです。
・サービスマネジメントをいくつかの領域に分類して構成されている
・ブルームの目標分類学における「応用」と「分析」の思考能力が求められる
インターメディエイトのコース・資格の概要をまとめると、上記に加えて次のような特徴があります。
・ライフサイクルとケイパビリティという2つのモジュールがある
・ライスサイクル・モジュールはコア書籍の5つのライフサイクルに対応する形で分類し、5つのコース・資格で構成されている
・ケイパビリティ・モジュールは、サービスマネジメントを4つの領域に分類し、その4つのコース・資格で構成されている
・この2つのモジュールの上位に、ライフサイクル全体を管理することを目的とする 「ライフサイクル全体の管理 (MALC:Manage Across LifeCycle)」と呼ばれるコース・資格があり、 この資格を取得するとエキスパートと呼ばれる上級の資格が与えられる
補足になりますが、エキスパートの資格が取得できるMALCというコース・資格においては、 ブルームの目標分類学における「応用」と「分析」に加えて、「統合」の思考能力が求められています。
ITILで中級以上の資格を取得するためには、2つのモジュールのどちらか一方を選択することになりますが、 それはコア書籍をどのように分割して学習するかであり、 どちらのモジュールを選択しても、ITILのコア書籍の内容を応用したり、 分析したりできる思考力を得るという意味において最終的な到達点は同じです。
ライフサイクルとケイパビリティの2つのモジュールの中には、 ほとんど同じ領域をカバーしているコース・資格もあるため、 エキスパート資格に必要となるMALCコースへの参加条件を満たすために、 他のモジュールの同じ領域の資格で代替することができます。 このことが、中級コースが複雑であるという印象を与えているのかもしれません。
インターミディエイトのコース・資格に関する正確な情報は、ITILの公式サイトに公開されている ITIL 認定資格スキーム を参照してください。
次回は、2012/11/10の予定です。