ITIL 徒然草

役割


ITIL が徐々に世の中に知られるようになった2006年頃によくあった誤解は、 当時、ITIL V2 で紹介されていたサービスデスクと11のプロセスを担当する人が、 小さな組織には足りないので導入できないのではないかという理解です。 ITILを学ぶ多くの人は、程度の差はあっても同様の混乱をしてしまうものです。

ITIL V3 の中にはさらに多くの役割があり、コア書籍5冊全部で約50の役割が説明されています。 一人が複数の役割を果たせば済む話なのですが、それでは50もの役割をどのように分担すれば良いのでしょうか。

役割は仕事(タスク)責任権限という要素から構成されており、 当たり前のことですが、誰もがどの役割でも担えるものではありません。 権限という組織上の制約もありますし、 仕事をする上での知識スキルという制約もあります。

第122話でご紹介した "ITIL V3 Small-Scale Implementation" というタイトルのITIL V3 補完ガイドには、 役割と能力の組み合わせに関して非常に参考になる説明がなされています。 この本の中では、小さな組織では以下の8つの役割を定義して、 仕事を分担することも考えられるのではないかという例を示しています。

- サービス・オーナ
- サービス・ポートフォリオ・マネージャ
- サービス・デザイン・マネージャ
- サービス・トランジション・マネージャ
- リリースおよび展開マネージャ
- インシデント・マネージャ
- テクニカル・アナリスト
- アプリケーション・マネージャ

この役割分担の話は、大きな組織においても参考になるのではないかと思うので、 次回、もう少し詳しく説明したいと思います。 次回は、2012/2/10の予定です。

第138話 第140話