ITIL V3 で取り上げられた約50の役割を、一人一役という形で分担することは、 たとえ大きな組織であっても現実的ではありません。 そこで、"ITIL V3 Small-Scale Implementation" が紹介している一人が何役も引き受ける場合の、役割分担の一例を紹介したいと思います。
サービスマネジメントの主要な8つの役割は、 必要となる能力の観点から以下の4つに分類することができます。
①顧客とサプライヤの関係を管理する能力
- サービス・オーナ
- サービス・ポートフォリオ・マネージャ
②サービスを計画し設計する能力
- サービス・デザイン・マネージャ
③サービスを変更し展開する能力
- サービス・トランジション・マネージャ
- リリースおよび展開マネージャ
④サービスを運用してコントロールする能力
- インシデント・マネージャ
- テクニカル・アナリスト
- アプリケーション・マネージャ
顧客とサプライヤの関係を管理する能力は、 顧客のニーズを把握してサプライヤとの協力を図りながら付加価値の高いサービスを提案したり、 組織間の利害関係を調整したりすることができることであり、 上述のリストは、この能力に恵まれている人材がサービス・オーナや サービス・ポートフォリオ・マネージャに適しているということを意味しています。
"ITIL V3 Small-Scale Implementation"ではさらに、 サービス・オーナが兼任しやすい役割として、以下の5つを挙げています。
- サービス・マネージャ
- 事業関係マネージャ
- サービスレベル・マネージャ
- サプライヤ・マネージャ
- CSIマネージャ(継続的サービス改善マネージャ)
このように一人がその能力に合わせて複数の役割を兼任することで、 サービスマネジメントの活動に対する責任を限られたリソースに割り当てることができます。
次回は、2012/2/25の予定です。