サービスの要件やツールの要件を定義する際に、 現実の世界にはコスト、リソース、時間などの制約があり、 思いつくすべての要件を実現することは簡単ではありません。 認識された要件に優先順位を設定し、 取捨選択をする必要があります。 そのような場面で意思決定を支援してくれるのが、 このMoSCoW分析です。
「MoSCoW」は、 日本人にとっては馴染みのないアルファベットの文字列ですが、 「Moscow」は英語で、ロシアの首都「モスクワ」のことです。 恐らく、欧米人が命名したのでしょうが、 わざわざ語呂合わせをして何とか印象付けようとしている懸命さを 感じるのは私だけでしょうか。
MoSCoW分析の「M」、「S」、「C」、「W」には、 それぞれの次の意味があります。
【M :Must】 持たなければならない(必須)
これが欠けるとサービスの価値が失われるような主要な要件
【S :Should】 可能であれば、持つことが推奨される(推奨)
提供するべき重要な要件だが、 時間不足の場合は、将来提供するときまで延期してもよい。 延期は短期間であることが望ましいが、 この要件が欠けてもサービスにはなお価値がある
【C :Could】 他のものに影響を与えないかぎり、持つことができる(可能)
提供のためにコストや時間がかかりすぎなければ、 含めることが有益となりうる要件だが、サービスの中心ではない
【W :Won't】 今回は持たない(先送り)
将来必要となる要件だが、今回の提供では必要とされない。
このように、それぞれの要件の重要性と必要性のレベルを「M」、「S」、「C」、「W」で分類し、 優先度を設定する判断基準とします。
これは、日常の生活にも応用することができます。例えば、今は夏季の旅行シーズンですが、 海外旅行に行く際の持ち物に関して事前に分類しておくと、 いざというときに、適切な優先順位で持ち物を準備することができます。
【例】海外旅行における持ち物
必要性 | 物品 |
【Must】 携帯しなければならないもの | パスポート |
---|---|
現金 | |
クレジット・カード | |
航空チケット | |
スーツケース | |
【Should】 携帯すべきもの | 身に着けるもの(衣類、靴、靴下) |
メガネ | |
カメラ | |
携帯電話 | |
洗面用具 | |
【Could】 可能なら携帯するもの | 予備の衣類 |
観光地図 | |
雨具 | |
デイバック | |
筆記用具 | |
【Won't】 携帯しないもの | 国際免許 |
懐中電灯 | |
英和辞書 | |
時計 | |
帽子 |
次回は、2013/8/25の予定です。