痛みの値分析は、インシデントや問題が事業や顧客にもたらす痛みを、 さまざまな角度から分析することで、 それらの痛みの大きさを算出する技法です。
ITILは、その典型的な要素として次の3項目を紹介しています。
・影響を受けた人の数
・発生した停止時間の長さ
・事業に対してかかったコスト(簡単に計算または見積もりできる場合)
この分析では、 ある種のインシデントや問題の、一定期間の数に注目するのではありません。、 これらのインシデントや問題が、事業にどのような痛みをもたらすかについて、 より踏み込んだ分析を行います。
もし、痛みのレベルを算出する計算式を組み立てることができれば、 客観的で相対的な痛みの大きさを、自動的に算出することができるようになります。 このことは、解決の処置を決定する際に、 真に重要で高い優先度であるべきインシデントや問題に、 焦点を当てることができることを意味しています。
この「痛みの値分析」をかなり以前から実践している会社があります。 その会社では「お客様迷惑度」という言葉を用い、 以下の要素を係数としてかけ算して「痛みの値」を数値化しています。
・業務の重要度
・影響範囲
・発生日のピーク性
・時間的要素
・地域の広がり
・再発、反復性
このことにより、インシデントや問題の優先度を設定され、 合理的に組織のリソースを問題解決のために割り当てることができます。 このような痛みの値を算出する計算式や重みづけは、 事業や顧客の方針、そして、サービスの内容によって変わりますから、 実際の問題に当てはめて、調整する必要があるでしょう。
以下は別の組織における、「痛みの値」を算出するためのパラメータです。
・影響を受けた人の数
・影響を受けたサービスの数
・影響を受けた地域や事業部門
・事業上の損失やダメージ
細かく見ればそれぞれの組織で異なりますが、大きな視点で捕えると、 ほとんど同じ所に注目していると言えるのかもしれません。
次回は、2013/9/25の予定です。