ITIL 徒然草

ITIL 2011


ITIL V3 の更新版、ITIL 2011が来たる7月29日にリリースされる予定です。 これは、V3のコア書籍に対して指摘された欠陥や矛盾した記述を解消したり、 ITILをより教えやすくするために教育機関やトレーナーからのフィードバックを反映させたりしたものだそうです。 ITILの出版元であるTSOが運営するWebサイト

http://www.best-management-practice.com/

には、このリリースに関するFAQが掲載されています。

http://www.best-management-practice.com/gempdf/ITIL_UPdate_FAQs_Summer_2011_June11.pdf

このFAQによると、コア書籍に対する主な変更点は次のようなものだそうです。

サービスストラテジ

伝えるメッセージを変えることなく明解な説明に務め、 より実践的な手引きや具体例を増やしました。 事業戦略とIT戦略を開発してメンテナンスする責任を持つ、 ITサービス戦略管理プロセスを新たに定義しました。 事業戦略とIT戦略は別々に説明しています。 財務管理に関する記述は拡張され、 事業関係管理需要管理はプロセスとしてカバーされています。

サービスデザイン

全体を通して、サービスストラテジとの整合性を図ることに注力しました。 多くの概念や原則がより明解に説明されています。新たに 「デザイン調整」プロセスを加え、 サービスデザイン・ステージ全体における活動の流れとその管理について明解な説明を行っています。 他に、サービス設計の5つの側面、サービスポートフォリオの設計、 サービス・カタログのビューに関する用語の説明の明確化を図りました。

サービストランジション

構成管理システム(CMS)やサービス・ナレッジ管理システム(SKMS) の構造、内容、関係が明解に説明されています。 変更の提案がどのように扱われるべきかを説明する新たなコンテンツが追加されました。 評価プロセス変更評価プロセスと名前を変え、 いつどのような時にこのプロセスを利用するかを明確にするために、 目的や適用範囲を修正しました。 サービス資産及び構成管理プロセスに、資産管理に関するコンテンツを追加しました。 変更管理、リリース管理及び展開管理、 変更評価など、多くのプロセスのフローとその繋がりに改善が加えられています。

サービスオペレーション

要求実現、アクセス管理、イベント管理を含む、すべてのプロセス・フローを修正したり、 追加したりしました。 サービス要求、要求モデル、そして、 プロアクティブな問題管理に関わる手引きなど、主要な概念の説明の明確化を図っています。 意味のあるイベント情報を生成するために、基本イベントをフィルターやルール・ エンジンにどのように流し込むかについての説明が追加されました。 アプリケーション管理の活動とアプリケーション開発の活動の関係もより明確に説明されています。 問題管理の分析技術、インシデント照合のための手順フロー、 問題管理へのインシデントのエスカレーションなどに関する手引きも明確化が図られています。 物理的施設の管理に関する説明はより詳しくなりました。

継続的サービス改善

7ステップの改善プロセスとデミング・サイクルとの関係やナレッジ管理に関して、 より明解な説明を行っています。継続的サービス改善モデルは、 継続的サービス改善アプローチと名前を変え、 組織内のすべての改善活動の詳細を記録する場所として、 CSIレジスタという新しい概念が紹介されています。 書籍全体を通して用語の意味を明確にし、読みやすさを改善しました。 特に、継続的サービス改善と他のライフサイクルとのインタフェースに関する記述が強調されています。

ITIL 2011のキーワードは、どうやら明解な説明(clarification)のようです。 今週予定されているITIL 2011 のリリースを楽しみにしたいと思います。

次回は、2011/8/10の予定です。

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