ITIL 徒然草

設計統括プロセス(2)


設計統括プロセス(Design Coordination)には、 すべてのサービスに関する全体的活動と個々のサービス設計に対する活動があります。 今回は、あらゆるサービスの設計が適切になされることを確実にする 全体的活動に注目します。 ITIL 2011で示された設計統括プロセス全体的活動には、 次の5つがあります。

- 方針と手法の定義と維持(Define and maintain policies and methods)
- 設計リソースと能力の計画(Plan design resources and capabilities)
- 設計活動のコーディネート(Coordinate design activities)
- 設計に関するリスクと課題の管理(Manage design risks and issues)
- サービス設計の改善(Improve service design)

方針と手法の定義と維持(Define and maintain policies and methods)

事業が期待するサービスを一貫性と正確性を保って設計できるように、 サービス設計に関する方針と手法を定義します。 サービス設計に関わるあらゆるプロセスと協力して、 サービス設計の有効性と効率性を高めるために繰り返し利用できる標準のプロセス、手続き、 システムに関する共通のフレームワークを用意します。 このフレームワークには、サービス設計の品質基準、要件、プロセス間のインタフェース、 他のライフサイクルとのやり取りに関する合意とその管理が含まれます。

また、アーキテクチャーに関する一連の文書、 サービス・ソリューションの設計やサービス・デザイン・ パッケージの作成に関する原則の維持管理もこの活動の一部になります。

設計リソースと能力の計画(Plan design resources and capabilities)

適切な設計を行うために必要なリソースと能力を計画し確保します。 重要な活動の1つは共有リソースに関する競合の調整です。 また、必要となる能力を識別し確保することも求められています。 サービス設計が一貫性と信頼性のある反復可能な方法であれば、 要求される能力を識別することは容易です。 現在の能力とのギャップを検出し、機能のリーダと協力してギャップを解消するのもこの活動の一部です。

設計活動のコーディネート(Coordinate design activities)

設計が最も有効で効率的に進めるためには、すべての設計活動を監視する必要があります。 設計統括プロセスは、他のサービス設計プロセスと連携してサービスの有用性(機能要件)と保証(運用要件)を確実に満たします。

統合された設計活動のためにコーディネートには、次の事項が求められています。

・ すべての設計活動、および関係部門間の良好なコミュニケーション
・ 全設計者への事業とITの計画と戦略の伝達
・ すべての設計活動を戦略的統治方針に従わせること
・ サービストランジションとの緊密なコミュニケーションと調整

アーキテクチャと設計の標準化によるエンタープライズ・アーキテクチャを確立することで、 サービス設計の5つの側面(ソリューション、マネジメント・システム、 アーキテクチャ、プロセス、測定基準)を最も効率的に統合することができます。

設計のリスクと課題の管理(Manage design risks and issues)

設計活動に関連するリスクを管理するために、公式のリスク・アセスメントと管理手法を使い、 不十分な設計からもたらされる課題を減らします。それぞれのプロジェクトや変更に関連するリスクと同様に、 すべての設計活動に共通するリスクにも注目します。

サービス設計の改善(Improve service design)

サービス設計のパフォーマンスを監視、測定することで、 その場の雰囲気や根拠のない情報に惑わされることなく、 客観的な事実に基づいて改善機会を発見します。 サービス設計活動の有効性と効率性を継続的に改善し、 サービス設計ステージにおける目標が常に達成されることを確実にします。

次回は、2011/11/10の予定です。

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