ITIL 徒然草

設計統括プロセス(3)


前回は設計統括プロセス(Design Coordination)全体的活動 に焦点を当てましたので、今回はそれぞれのサービスに対する 個別の活動に注目します。 ITIL 2011で示された設計統括プロセス個別の活動には、 次の4つがあります。

- 設計の計画立案(Plan individual designs)
- 設計の調整(Coordinate individual designs)
- 設計の監視(Monitor individual designs)
- 設計レビューとSDPの受渡し (Review designs and ensure handover of SDP)

設計の計画立案(Plan individual designs)

それぞれのプロジェクトや変更における活動は、慎重に計画する必要があります。 経験に伴い設計プロセスが成熟すれば標準の手順やテンプレートが利用でき、 計画立案はより簡単になります。単純な変更であれば既に計画は作られており、 複雑な変更でも過去の文書を修正して利用することができます。

重要なのは事業上の成果を達成することであり、サービスの有用性だけではなく、 コストやスケジュールに対する期待があることも忘れてはなりません。 サービスを有効に利用してもらうためには、求められている機能を提供するだけではなく、 ユーザがそのサービスの存在や利用方法を知ることや、 プロバイダがサービスを適切に管理して、品質を改善していけるようすることも含まれています。

設計の調整(Coordinate individual designs)

「設計の計画立案」と同様に、 プロジェクト・マネージャや変更の責任者によって頻繁になされる活動です。 経験が必要で、プロバイダや顧客の資源をスケジュールし、 適切な人間がタイミング良く参加して正確で信頼できる設計がなされるよう、注意を払わなければなりません。 要件を収集して文書化し、合意をして設計に反映させ、 顧客とともに確認し調整する作業は繰り返し実施されます。

設計が進むにつれて、サービス戦略でなされた判断を見直す必要があることが明るみに出ることがあります。 この場合、サービス・ポートフォリオ管理など他のプロセスを巻き込んで、再度調整が図られることもあります。

設計の監視(Monitor individual designs)

設計が「合意された方法に従っているか」、 「他で進行している設計活動との整合性があるか」、 「計画通りに進んでいるか」、 「事業目標達成を支援する包括的な設計になっているか」等、 後になってから手直しが発生しないように進行中の設計活動を監視します。

設計レビューとSDPの受渡し
(Review designs and ensure handover of SDP)


個別のサービス設計における最後の作業は最終レビューを行うことであり、 それまでの設計活動が標準に従っていることや、 SDPに求められているすべての要件が満たされていることを確認します。 課題があれば記録に残し、サービス設計の中で引き続き解決に取り組むか、 サービストランザクションに引き継ぐかを決定しなければなりません。

要求基準が満たされれば、SDPは通常、 サービストランジションの「移行計画とサポート」プロセスに受け渡されます。 要求基準を満たしているという判断は公式なチェックリストによるものかもしれませんし、 変更管理からの承認によるものかもしれません。 サービス設計に関わったほとんどのスタッフが引き続きサービス移行にも関わるので、 このステップで行うことはサービスのステータスを「設計済み」に更新し、 設計段階の文書化が完了したことを組織として認めることぐらいしかありません。

次回は、2011/11/25の予定です。

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