ITIL 徒然草

「ITIL」って何?


 最近、様々なメディアで「ITIL」という言葉を見かけます。「ITIL」って一体何者 なのでしょうか?ITインフラストラクチャ・ライブラリを略した言葉ですが、それでも よく分かりません。ライブラリということは図書館?いいえ、違います。本の集まり なんですね。この書物群には、IT導入に関する先進企業のノウハウがたくさん詰 まっています。

「ITIL」は、1980年代後半に英国の政府機関、中央電算電気通信局(CCTA)から出版 されました。当時のイギリスは長期に渡り経済面で低迷しており、その症状は「英国病」 とまで言われました。時の首相マーガレット・サッチャーは「鉄の女」と呼ばれ、行政と 経済の大改革を断行しました。

そんな時代背景の中、CCTAは「ITインフラストラクチャ・マネジメント手法」の実証プロ ジェクトをスタートさせました。実証するのは、「反復可能なプロセスによるITマネジメ ント手法を確立すれば、ITサービスを提供するコストは下がり、サービスの品質は向上す る」という仮説でした。懐疑的な周囲の予想を裏切ってプロジェクトは成功し、より多く の関心を集めました。仮説は実証されたのです。この考え方を英国政府コミュニティに広 め、利用してもらうためにまとめられた書物群が、「ITIL」です。

以上のことからITILに関する記事の多くは、「ITILとは、運用業務におけるベストプラク ティスの集大成」と紹介しています。ただこれだけでは、ITIL が何を主張しているかを 伝えてはくれません。ITILの主張は、デミングが唱えた品質改善の考え方を 運用業務に適用することです。

ということで、第2回はデミング・サイクルとITILの関係についてお話したいと思います。

第2話