ITIL 徒然草

コスト構造の可視化(原価モデルの構築)


財務上の計画立案で重要な活動の1つであるサービス査定では、 サービスを供給するコストである サービスの供給価値を算出する必要があります。 そのためには、従来の原価勘定データをサービスごとに 配賦しなければなりません。

配賦するとは、費用を発生させている項目に 該当するコストを割り振るということです。 従来、原価費目に対して配賦されていた コスト情報をそれぞれのサービスに対して配賦するのが、 サービスマネジメントが求めている財務管理です。

バージョン2のIT会計の中で説明されていた原価 モデルの構築は、まさにこのことを実現するための手段でした。 バージョン3では、原価モデルという言葉ではなく、 原価勘定データをサービス勘定情報に変換する という表現でこの概念を説明しています。

このような活動を基盤としたサービス指向の会計機能は、 サービスのコスト構造に高い可視性を与えてくれます。 サービス供給のコスト構造が明らかにすることが、以下に示す 財務管理の活動を可能にし、サービスに対するより効率的な 投資を可能にします。

  • サービス供給の最適化
  • サービス投資分析


  • サービス供給の最適化は、サービスをコスト構造や 品質の面から見直す活動です。コスト構造の 可視化は、当然のことながらこの活動にとっても不可欠な要素になります。

    サービス投資分析は、ソリューションやプロジェクトに 対する投資を分析し、サービスのライフサイクル全体を通した 受領価値負担コストに基づいた審査基準の 標準化を図る活動です。コスト構造が漠然としていては、 信頼できる判断基準を期待することはできません。

    さらに、財務管理と連携するサービス・ポートフォリオ管理も、 サービス供給に関するコスト情報を必要としています。サービスへの有効な 投資を行うためには、コスト構造に関する情報は欠かせません。

    コスト構造の可視化は財務管理への直接的な 利益だけではなく、数多くの副次的な価値をサービスマネジメントに 供給してくれます。

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