ITIL 徒然草

ITIL V3 の特徴


ITIL V3 で新たに紹介されている数多くの概念について取り上げて参りましたが、 V2 との比較をすることは少なかったと思います。今回からV2 とV3 の違いに 焦点を合わせていくつかの話題を取り上げてみます。

この2つのバージョンの違いを説明することは、そう簡単なことではありません。 一言で言えば「V2の改善」なのですが、何がどう改善されたのかについて 説明しようとすると、多くのことを同時に説明しなくてはならなくなるからです。

表面的なことを言えば、サービスマネジメントの機能面から出版 されていたV2 の書籍群が、サービス・ライフサイクルの観点から 5冊の書籍にまとめられたことが大きな変更点です。

これは、サービスの改善をライフサイクル全体で実施するためのアプローチです。 サービス供給におけるサービス品質の問題は、必ずしもサービス運用の段階 に存在するとは限りません。改善が必要であれば、適切なライフサイクルに フィードバックされる必要があります。

例えば、サービスのリリースに課題があれば、インシデント管理がインシデント の処理をどんなに効率的に行ってもサービスの品質が改善されることはありません。 また、設計が不十分なために性能の問題が頻発している時、設計フェーズに改善が なされなければ、関係者全員が常に性能の問題に悩まされることになります。

このような課題に対処するためにサービスマネジメント・ライフサイクルからのアプローチが 採用されたという説明が、もっとも容易で納得してもらえるV2とV3の相違点です。 ただ、実際にはそれ以外にも多くの相違点を見つけることができます。

次回以降、それらの相違点を指摘したいと思います。個々の相違点 を説明する前に、まずはコア書籍5冊に共通する 2つのバージョンの相違点を次の観点から考えてみます。

  • サービスマネジメントのコンセプト
  • サービスマネジメントの構造
  • コア書籍の構成
  • 用語表現
  • 認定試験の出題範囲


  • 第67話 第69話