サービスマネジメントにおける原則はほとんどのサービス・プロバイダに適用できますが、 顧客、契約、市場、競争、収益、戦略などの意味は、サービス・プロバイダの タイプによって異なってきます。
「サービスストラテジ」では、サービス・プロバイダのタイプを3つに分類し、サービスを調達する側 の立場でその選択方法について解説しています。そのサービス・ プロバイダ・タイプですが、次のような分類がなされています。
【タイプ1】内部サービス・プロバイダ
特定の事業部門に対してのみサービスを供給する形式であり、オーナであり顧客である 事業部門との結び付きが強いという特徴があります。外部との取引で発生する リスクやコストを回避することができ、絞り込まれたニーズにサービスをカスタマイズ して提供します。
サービスの運営費用は事業が競争上の優位性を確保する ためのコストと見なされ、サービス単体で投資対効果が評価されることはありません。
【タイプ2】シェアード・サービス部門
同一の企業統治傘下にある複数の部門に共有される形式です。供給する サービスが競争上の優位性を支える中核機能として位置付けられない場合、 サービス・プロバイダとそのサービスは複数の事業部門に共有されることによって 価値を高めることができます。
特定の事業部門 にとって最適なサービスではなくても、内部合意や会計処理上の優位性などで プロバイダの存在意義が正当化されます。シェアード・サービス部門が成長すると、 外部の市場で他社と競い合う事業部門として、収益源の一つになることもあります。
【タイプ3】外部サービス・プロバイダ
顧客の企業統治から距離をおいてサービスを供給するサービス・プロバイダです。 顧客にとっては、外部の市場から最適なサービスを迅速に調達する手段として有効です。
サービス・プロバイダは開かれた市場の厳しい競争にさらされる一方、 顧客獲得機会に関してより高い柔軟性と自由度が確保されます。 複数の企業からの需要を統合することで、サービス供給コストを抑え競争力のある 価格を提示することができます。
プロバイダ・タイプの選択方法
いずれのタイプのプロバイダにも利点と欠点があります。取引コストはサービス・プロバイダを 選択する際の大きな要因となります。取引コストはサービス・プロバイダとの取引にかかる全体 のコストです。取引コストとして、次のようなコストが考えられます。
顧客は、取引コストや事業上の戦略に基づいてサービス・プロバイダのタイプを選択しますが、 サービスを供給するための活動内容やサービスの特徴もまた、プロバイダ・タイプを決定する際の 判断材料になります。
上記の質問に「はい」と回答できるサービスほど、外部プロバイダを検討する余地がある サービスと考えることができます。