バージョン2において、需要管理はキャパシティ管理における1つの活動として 紹介されています。その主な達成目標は、次の通りです。
ITサービスに対するユーザと顧客の需要に影響を与え、 ITリソースへのインパクトを管理すること
需要管理は、私たちの身近にも数多く存在しています。例えば、人気のある遊園地では、混雑が サービス品質の極端な低下や混乱をもたらさないように入場制限を行っています。
また、 電話や電力はできるだけ消費量の少ない時間帯に利用されるように、料金に差をつけています。 この2つのどちらも需要管理と言われるサービスマネジメントの活動です。
前者の例は、ITインフラストラクチャの一部に障害が発生した際などに見受けられる活動です。 障害のために通常の処理能力を供給できない時、同時に利用できるユーザ数に制限を加えることで 利用者が期待している処理応答時間を確保しようとする試みです。
後者の例は格差課金と呼ばれています。サービスの消費量を平準化することで 効率的なリソース利用を図る活動です。
前者は日々のサービス供給の際に実施される運用レベルにおける需要管理であり、 後者は長期的な観点に基づいた戦術レベルでの活動とみなすことができます。
バージョン3ではさらに、戦略レベルでの需要管理が紹介されています。 運用や戦術レベルにおける需要管理は、サービスのコンテンツが決められている中での テクニックでしたが、戦略レベルにおける需要管理は需要を理解してサービスの コンテンツ決定を支援します。
サービスの消費がなければキャパシティに対する需要は存在しません。つまり、キャパシティ があるというだけでは需要は生まれてこないのです。サービスマネジメントは、需要を生み出す 事業の動きを理解する必要があります。
顧客の事業活動パターン(PBA:Pattern of Business Activity) を分析 することで、サービスの需要パターンに合わせたサービスとサービスマネジメントを 設計することがことできます。
事業活動パターンを体系化することで、サービスの消費者であるユーザとその需要 パターンを理解し、そのセグメントに供給するサービスのコンテンツを構成することで、 需要管理はサービス戦略の策定を支援します。