財務管理には、サービスの提供と消費に適切な資金を 確保するという最終目標があります。
バージョン2における予算管理という活動は、まさにこの最終目標を達成する ためのものでした。しかし、バージョン3の財務管理の章から予算管理という 活動を見つけることはできません。
財務管理の章における予算管理にあたる概念は、主に以下の活動や概念の中に 組み込まれています。
サービスを供給するためにはコストがかかります。また、そのサービスの 販売価格を決めなければ、予算を立案することはできません。この サービス供給コストと、販売価格を設定するのがサービス査定です。
サービス査定では、供給コストである供給価値と 販売価格にあたる潜在価値を算出します。
次にそのサービスの販売量を予測しなければなりません。サービスの 需要を読み間違えると投資利益率(ROE:Return On Investment)に 大きなダメージを与えます。財務管理は、顧客の 観点でサービスの総利用コスト(TCU:Total Cost of Utilization) を算出し、将来のサービス需要を予測します。
需要は販売価格に左右されますから、販売価格によるサービス需要の変化 を予測しなければなりません。これが、需要モデル化です。 需要モデル化によって、サービスの販売価格と販売量が 予測されれば、それに伴う供給コストもより正確に算出することが できます。
このサービスが外部に対するサービスであれば、予測される供給コストに プロバイダの課金ポリシーを適用して料金を設定し、顧客と交渉することに なります。また、内部のサービスであれば、投資判断を上級マネジメントに委ねます。
このようにして財務管理は、サービスの提供と消費に適切な資金を確保します。 ただ、注意しなければならないのは、計画立案の信頼度です。
計画立案の信頼度とは、計画立案を行う際に使用するデータは信頼性の 高いものでなければならないという考え方です。サービス査定と 需要モデル化の信頼度が、財務管理の成功に大きな影響を与えることを 理解しなければなりません。