コスト構造の可視化が財務管理にとって不可欠な要素になりますが、 それを支えるのが会計です。財務報告を行うために、どんな企業にも 従来からの会計プロセスは存在します。
しかし、ITIL が求めているのはサービス指向の会計プロセスです。 会計をサービス指向に変えるためには、それぞれのコストに顧客や サービスに関する情報を付加しなければなりません。
例えば、マシンを購入する際にも、どのサービスにかかるコストなのかを 識別し記録します。これが、ITサービスのコストをサービスの観点で説明するため の最初の一歩です。
次に検討しなければならないのは、識別されたコストをそれぞれのサービスに割り当てることです。 このコストの割り当てを配賦と呼んでいます。1つのサービスのためだけに 費やされているコストは直接費と呼ばれ、全額が特定されたサービスに 配賦されます。
マシンルームの維持管理費用など、複数のサービスのために費やされる間接費は それぞれのサービスに合理的に配賦されなければなりません。例えば、各サービスが均等に コストを負担するとか、マシンの使用状況に合わせてコストを負担する等、 サービスとコストの関係を反映させたコスト配賦の仕組みを確立します。
すべてのコストがそれぞれのサービスに配賦されることで、サービスごとのコストが算出されます。 サービスごとに費用を説明することができれば、コスト効果を考慮したサービスへの投資が 可能になります。
ただ、コスト配賦の仕組みに正確さを求めるあまり、 複雑で手間や時間がかかる会計プロセスにならないように注意しなければ なりません。 シンプルなコスト算出と配賦の仕組みを工夫することで、 有効で効率的なサービス指向の会計プロセスが実現します。