ITIL 徒然草

サービス・ポートフォリオ


サービス・ポートフォリオは、ITIL バージョン3において初めて出てきた言葉です。しかしながら同時に、極めて重要な概念でもあります。

サービス・ポートフォリオを一言で言い表すならば、サービスの目録です。サービス・カタログもまたサービスの目録ですが、サービス・カタログが顧客やユーザに対して用意されるのに対して、サービス・ポートフォリオは組織内部、それも予算配分や投資案件を決定する立場にいる人達のために提供されるサービスの目録です。

サービスの品質を高めるためには、インフラストラクチャの情報を正確で最新の状態に保つ必要があることを、私達の多くはITIL の構成管理や変更管理の中から学びました。

IT組織が健全なサービス・プロバイダであるためには、個々のサービスにどれだけのリソース配分と投資がなされ、どのような利益を生み、どのようなリスクが存在するかをできるだけ正確に知る必要があります。

サービス・ポートフォリオは、それぞれのサービスを比較するための情報を提供してくれます。対象となるサービスは、現在利用されているサービスに限りません。供給される可能性のあるすべてのサービスは、最初の段階からこのサービス目録に登録され、比較検討されなければなりません。

サービス・ポートフォリオの対象は、大きく分けると3つになります。それは、サービス・パイプラインサービス・カタログ廃棄されるサービスです。

サービス・パイプラインは、サービスがまだ導管(パイプライン)にある状態です。つまり、そのサービスが外部に対してコミットされる前の段階にあるサービスを意味しています。

サービス・カタログには、既に利用可能になっているサービスやサービス供給がコミットされているサービスが記載されています。そして、廃棄されるサービスは、文字通り既に廃棄が決まったサービスです。

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