ITIL 徒然草

IT運営グループ(IT戦略グループ)


カルロス・ゴーンが率いる日産自動車はリバイバルプランによって奇跡的な復活を 遂げましたが、組織改革のために部門の壁を取り払い、社内横断的に意見交換を 行うクロス・ファンクショナルチーム(CFT) を発足させたことは有名です。

部門をまたがる意見交換の場を作成することは、部門間のコミュニケーションを促し、 方針の矛盾や検討漏れを前もって排除することができます。ITIL の 変更諮問委員会(CAB) も社内横断的な集まりですが、 変更要求に対して議論を交わす、どちらかと 言えばリアクティブ(受動的)な活動と捕えることができます。

しかし、組織にはIT戦略とIT計画を検討する プロアクティブ(能動的)な意思決定の場が必要であり、 多くの組織は事業とITサービスの同期を取るために、事業組織とIT組織の上級管理職 をメンバとした委員会を組織します。このような集まりをITILでは、IT運営グループ あるいはIT戦略グループ(ISG:IT Steering/Strategy Group) と呼んでいます。

ISGは、次のような活動を通してITサービスのビジョンと方向性を示し、IT計画を 事業やITの戦略と整合させます。

  • 事業計画とIT計画をレビューして、投資すべき領域を特定する
  • サービス需要の変化を予測したり、事業側の需要計画を策定したりする
  • プロジェクトの許可と優先度付けを行い、実施状況をレビューする
  • アウトソーシングの必要性に注意を払い、可能性があれば検討する
  • 事業戦略やIT戦略の変更をレビューし、事業とITを継続的に整合させる
  • 事業継続性とITサービス継続性の整合性を維持する
  • 財務戦略と投資効果管理に関する基準を整備して運営する


  • ISGは、戦略の変更だけでなく、ITサービスの戦略に関わるあらゆる 側面に関して協議を行い、その決定に対して説明責任を果たしていきます。

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