プロセス成熟度フレームワーク (PMF : Process Maturity Framework) は、 プロセスの成長過程を説明するモデルです。プロセス指向のアプローチをとっている ITIL とって理論的な拠り所とも言える概念ですが、市販のITIL本には 意外とその紹介や説明がなされていません。
プロセスは次の5つの段階を踏んで成熟していきます。
プロセスは成熟するほど期待されている結果を安定的に出力できる ようになります。ITIL は、サービスマネジメントのプロセスをいかにして 成熟させるかを説明している書籍群と考えることもできます。
それぞれの成熟度に関する説明は次の通りです。
初期の状態
プロセスとして認識されてはいてもほとんど管理されておらず、「その場しのぎ」 で「場当たり的な」活動がなされている状態です。期待する結果が出せなかったり、 得られる結果にむらがあります。
反復できる状態
プロセスは認識されていますが、結果を出すためのリソースが十分に割り当てられて いない状態です。個人の能力に依存している要素が多く、プロセスが「属人化」 しています。個人の状態によって、結果が大きく左右されます。
定義された状態
プロセスが文書化され、組織が十分なリソースを割り当ててプロセスを実行して いる状態です。成果を評価する客観的な根拠に乏しく、最悪の場合、 結果を出すことよりもプロセスを実行しているという事実だけで プロセスの責任者が正当化されてしまう危険性があります。
管理された状態
そのプロセスの重要さが組織に認識され、結果だけではなく効率性にも 目が向けられるようになります。客観的に計測することで、プロセスの 有効性や効率性をコントロールしている状態です。
最適化する状態
プロセスが関係者全員にとって明確な意図のある活動として定着しています。環境の変化に素早く 対応できる継続的な改善活動がプロセスの一部として組み込まれている状態です。
補足になりますが、ITIL によるとこのプロセス成熟度フレームワークは、 1970年代に考案されたものだそうです。 長年に渡ってIT業界で広く利用されている概念であり、 能力成熟度モデル統合 (CMMI : Capability Maturity Model Integration) や COBIT (Control Objectives for Information and related Technology)でも 取り上げられています。
ITILでは、バージョン2の「サービスマネジメント導入計画立案」、バージョン3の 「サービスデザイン」や「継続的サービス改善」などで取り上げられ、説明されています。