ITIL 徒然草

サービス・キャパシティ管理


キャパシティ管理は、サービスの需要と供給のバランスを取るプロセスと言われています。 事業キャパシティ管理はサービスの需要に注目し、 コンポーネント・キャパシティ管理はサービス・プロバイダのITリソースに注目します。 サービス・キャパシティ管理は、サービスの需要と供給のバランスの 結果として利用者が認識するサービスの品質に注目します。

例えば、ネットワーク回線への負荷が高すぎて十分な処理性能が得られないとき、 キャパシティ管理には2つの選択肢があります。1つは 供給を増やす方法であり、もう一つは需要を減らす方法です。 前者の例として、ネットワーク通信の能力を高めるために通信設備を 増強するという方法が考えられます。後者の例としては、サービス料金 を高くするなどしてサービスの利用量を減らす方法が考えられます。

一般に、ITリソースを追加して能力を増強する手段を選択すること が多いですが、システムに拡張性がないなど顧客が認めざるを 得ない合理的理由があれば、サービスの利用量を抑制するという 選択肢もあり得ます。

サービス・キャパシティ管理は、サービスの需給バランスの結果 であるサービスの応答時間や処理時間を監視、測定、記録、分析、 報告することによって、サービスマネジメントに貢献します。重要なのは サービスの需要パターンとITリソースの消費パターンを理解することです。 サービス需要と消費されるITリソースの関係を理解することで、 例外を予防するプロアクティブな活動を担うことができます。

例えば、サービス需要が最も多い時間を知り、また需要の変化でどのように リソースの消費が変化するかを理解できれば、 適正なサービスの目標値を設定することができます。

また、サービスの品質に悪影響をもたらす 需給パターンを分析することで、速やかに例外を検出するためのしきい値を 設定することができます。これは、例外を予防したり、いち早く 例外に対処できることを意味しています。

サービスの需要と供給の関係を正確に把握することで、 リソースの増設量やそのタイミングもより適切になされ、 効率よくサービスの品質をコントロールすることができます。

次回は、2010/01/10 の予定です。

第88話 第90話