ITIL 徒然草

問題コントロール


エラー・コントロールというITIL V2 で使われていた用語が ITIL V3 では一切使われなくなったことにお気づきでしょうか? ITIL V3 では問題コントロールの考え方が少し変わりました。まずは、 ITIL V2 の「サービスサポート」に記されている問題コントロールエラー・コントロールの説明を確認しましょう。

問題コントロールは、問題を既知のエラーに変換することに焦点をあてている。 エラー・コントロールは、変更管理プロセスを介して既知のエラーを体系的に解決する ことに焦点をあてている。(P97)

根本原因が判明すると、エラー・コントロール・プロセスが始まる。(P101)

ITIL V2 では、問題コントロールの役割は、問題を既知のエラーにすること、すなわち、 問題の根本原因の究明とワークアラウンドの提供でした。しかし、なぜ2種類の コントロールが必要であるかの説明はなく、曖昧で分かりにくい部分でもありました。

これに対して ITIL V3 には、問題コントロールやエラー・コントロールという表現はありません。 しかし、検出された問題は、解決策が適用され、クローズするまで、問題管理の管理下で 適正に扱われなければなりません。問題管理の管理下で組織の規則に基づいて問題を 適切に処理することが問題のコントロールです。

既知のエラーというのは問題の1つの状態であり、既知のエラーになったところで インシデントが発生しなくなったわけではありません。問題管理は、 解決策によってインシデントの再発の可能性が失われるまで、その問題を コントロールする責任があります。

問題レコード既知のエラー・レコードは、実装方法によっては同一であるかもしれません。 しかし、その目的は明らかに違います。

問題レコードは、問題をコントロールするために作成され、問題管理によって 利用されます。問題の現在のステータスや優先順位が参照され、その問題をどのように 扱うべきかを判断します。

既知のエラー・レコードは、ワークアラウンドや根本原因の他に、発生した障害の症状や 判明した事実の詳細が記されます。主にインシデント管理によって参照され、インシデントを どのように扱うべきかを判断するために利用されます。

次回は、2009/9/10 の予定です。

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