ITIL 徒然草

BPOとKPO


事業のビジネス・プロセスや機能全体を 外部組織に委託するビジネス・プロセス・アウトソーシング (BPO:Business Process Outsourcing)は、 より低いコストで事業目標を達成する手段として 日本でも本格的に採用する企業がでてきています。

コストを圧縮することが主な目的であるため、 労働コストの低い海外の組織に業務を委託する ことも珍しくありません。 ただ海外に委託する場合でも、文化や言語は より近いほうが望ましいので、欧米の企業はインドのような 英語を公用語とする国の企業へ、日本の企業は 中国のように漢字を扱うことができる国の企業へ 委託することが多いようです。

BPO の利点は責任の所在を明確にできることです。 切り出された業務のすべてを任せるので 結果を評価しやすく、業務遂行におけるリスクを そのまま移転することができます。 委託する業務として代表的なものとして、会計業務、給与処理、 コールセンタ運用などが挙げられます。

ナレッジ・プロセス・アウトソーシング (KPO:Knowledge Process Outsourcing)は、BPOの 一種と考えることができます。BPOは、経理や人事給与など 定形化された業務プロセスの委託であるのに対して、 KPOは顧客のニーズに沿った解決策を提案するものです。リサーチ・分析・意思決定の スキルは、判断力とビジネスの専門知識を必要とします。

インターネットの情報によると、BPOの分野では高付加価値業務へのシフトが進んでおり、 4、5年前から欧米のコンサルティング系会社を中心に法人決算業務、 特許などの法務、医療関連事務などの業務が増え、さらに、 会計士、弁理士、弁護士、医師など、高度専門職のアウトソーシング業務に まで進化しているそうです。

例えばクレジットカード関連サービスにおいては、当初個人顧客のデータ入力や 利用申し込みの受付といった業務だけでしたが、次第に個人顧客の信用調査や 不正の摘発など、より高度な能力が要求されるサービスへと移行していっています。

日本ではあまり聞きなれない言葉ではありますが、特にインドのBPO企業が 注目している新たな市場のようです。 ITIL でも、高度な分析的かつ専門的スキルが要求される アウトソーシングの最新の形として紹介されています。

次回は、2009/7/10 の予定です。

第76話 第78話

ITIL V3 講習会


目次

管理とコントロール

(2009/7/25)

アプリケーション・サービス供給

(2009/7/10)

BPOとKPO

(2009/6/25)

コソーシングと
マルチソーシング

(2009/6/10)

サービス提供モデル

(2009/5/25)

資格試験の出題範囲

(2009/5/10)

V3 で表現が変わった概念

(2009/4/25)

コア書籍コンテンツの構成

(2009/4/10)

戦略的サービスマネジメント

(2009/3/25)

サービスマネジメントの構造

(2009/3/10)

ITIL V3のコンセプト

(2009/2/25)

ITIL V3の特徴

(2009/2/10)

サービス・パッケージ

(2009/1/25)

サービス・モデル

(2009/1/10)

サービス・プロバイダ・タイプ

(2008/12/25)

プロセス成熟度フレームワーク

(2008/12/10)

IT運営委員会(IT戦略委員会)

(2008/11/25)

組織の発展

(2008/11/10)

戦略の4つのP

(2008/10/25)

会計

(2008/10/10)

コスト構造の可視化

(2008/9/25)

財務上の計画立案

(2008/9/10)

財務管理

(2008/8/25)

需要管理2

(2008/8/10)

サービス・ポートフォリオ管理

(2008/7/25)

ビジネス・ケース

(2008/7/10)

サービス・ポートフォリオ

(2008/6/25)

需要管理

(2008/6/10)

サプライヤ管理

(2008/5/25)

サービス・カタログ管理

(2008/5/10)

サービスナレッジ管理システム

(2008/4/25)

ナレッジ管理

(2008/4/10)

評価

(2008/3/25)

サービスの妥当性確認とテスト

(2008/3/10)

移行の計画立案と支援

(2008/2/25)

サービス移行

(2008/2/10)

アクセス管理

(2008/1/25)

イベント管理

(2008/1/10)


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