サービスを設計する際には、サービスをどのような枠組みで提供するかを検討する必要があります。 事業要件やサービス要件など外部から与えられる制約条件だけでなく、サービスプロバイダの守備範囲や スタッフのスキルなど、内部要件によっても採用すべきモデルは変わってきます。
ITIL ではこのサービス提供モデルを、以下の7つのカテゴリに分類して説明しています。
・ インソーシング
・ アウトソーシング
・ コソーシング
・ パートナシップまたはマルチソーシング
・ ビジネス・プロセス・アウトソーシング
・ アプリケーション・サービス供給
・ ナレッジ・プロセス・アウトソーシング
ただ、プロバイダが採用すべきモデルはプロバイダ固有の事情や周囲の状況に大きく 依存しているため、ITILは選択のための具体的な指針は示すことはなく、各提供戦略の 長所と短所を示すだけに止めています。
インソーシングは、プロバイダ組織内のリソースだけを活用してサービスを供給する戦略です。 組織の意思を直接反映させることができ、熟知した方針と慣れ親しんだプロセスで サービスを供給することができます。設計の自由度が大きく、最先端の技術を導入したり、 企業固有のナレッジを取り入れることでサービスの事業価値をさらに高めることができます。
インソーシングの短所は、提供できるサービスが組織内リソースのスキルや量によって 制限されてしまうことです。外部サービスを調達するよりも割高になったり、サービスが供給される までに時間がかかってしまう場合もあります。
アウトソーシングは、明確に定義された一部の活動を外部組織に委託してサービスを 供給する戦略です。専門的な知識やスキルを短期間で調達することができ、多くの場合、 コスト面でも有利です。新規サービスの試行など、一時的なニーズにも柔軟に対処でき、企業は 中核能力に集中することができます。
アウトソーシングの短所は、組織の意思をサービスに十分に反映させることができなかったり、 サプライヤと連携するための努力やコストが求められます。また、内部リソースを活用する よりもスキルや能力を把握しにくくなり、リスクが高まることも考えられます。
次回以降、他のサービス提供戦略の特徴や、長所・短所について考えてみたいと思います。
次回は、2009/6/10 の予定です。