ITIL の普及を牽引した要因の1つとして、国際的な認定制度の存在が挙げられます。 サービスマネジメントに携わる人間が同じ概念を共有し、同じ用語でコミュニケーションを 図ることができる利点は計り知れません。
V2 におけるファウンデーション資格試験の出題範囲は、「サービスサポート」と 「サービスデリバリ」で定義されているプロセスの目標、用語、活動でした。 出題範囲が適切であったことは、認定取得者の数や業界での認知度から判断する ことができます。
しかしその一方で、認定試験の必修用語とそうでない用語の普及レベルにはかなりの差が生まれます。 「サービスサポート」と「サービスデリバリ」に取り上げられているプロセスの 概念は、認定試験制度によって多くの技術者に知られるようになりましたが、逆の見方をすれば それ以外の書籍に記されているベストプラクティスには、ほとんど目が向けられることはありませんでした。
V3 におけるファウンデーション認定試験の出題範囲はコア書籍5冊すべてです。これは、 認定試験の出題範囲が大幅に広がったことを意味しています。特に、「サービス ストラテジ」が出題範囲に含まれていますので、ファウンデーション資格を取得するためにはサービス・ マーケティングの基礎を学ばなければなりません。
出題範囲が広がったことで、V2 と比較してV3 の教育コースの方が難しいと感じている方が 多いように感じます。これは、教える側にも、教えられる側にも言えます。ただ、試験範囲と ITILの良し悪しは別の話なので、話を聞かれている方ができるだけ楽に感じられるように 今後も工夫を積み重ねていきたいと考えています。
認定試験の出題範囲に現場からのフィードバックが反映されるような仕組みがあります。 APMG によると、2009年4月の改定では、「サービスストラテジ」を 中心にいくつかの基本概念が出題対象から外されました。この改定は、日本における 教育コースや資格試験にも近いうちに反映されると思います。
次回は、2009/5/25 の予定です。