管理 (Manage) もコントロール (Control) も日本語にするとどちらも 管理するという意味で捕えられることが多く、意識してその違いに注目することは ほとんどありません。しかし、ITILに記されていることを正確に読み取るには、 この2つの言葉の意味の違いに目を向ける必要があります。
この話題は、実は第11話 インシデント・コントロール というタイトルでかなり前に扱った題材なのですが、重要な概念ですので 別の観点から改めて説明したいと思います。
ITIL には、「インシデント管理とインシデント・コントロール」、 「問題管理と問題コントロール」、「変更管理と変更コントロール」という対になる 概念があります。これらはすべて同じ関係です。
ITILV3 のコア書籍の1つである「継続的サービス改善」には、この関係を端的に 表現した次の一節があります。
定義できないものは測定できない。測定できないものはコントロールできない。 コントロールできないものは管理できない。
つまり、インシデント、問題、変更のいずれにおいても、それぞれの定義が明確で その概念が共有されていなければ、その数や状態を測定することができません。 それぞの状態が測定(識別)できなければ、あるべき状態に推移させること、 すなわち、コントロールすることができません。
コントロールとは、それぞれのインシデント、問題、変更を記録したり、 分類したり、優先度を設定したり、状態を監視して、事業の求める状態に推移させる ことです。
個々のインシデント、問題、変更をコントロールできなければ、 全体の処理に費やされる時間や工数を管理することはできません。
管理するとはインシデント、問題、変更を記録したり、 分類したり、優先度をつけたりするための規則を作成することで、 有効で効率的にインシデント、問題、変更をコントロールする 仕組みを構築し、パフォーマンスの測定とコントロールによって 全体の最適化を図ることです。
次回は、2009/8/10 の予定です。