クラウドという言葉を、ITの世界で良く見かけるようになりました。 システム構成図の中でネットワークは雲(クラウド)のような図形が 使われることが多く、そのネットワークの向こう側にあるコンピュータ資源を 利用することからクラウド・コンピューティングと呼ばれています。
アプリケーション・サービス供給(ASP:Application Service Provision) もこのクラウド・コンピューティングの一つであり、基本は共通のコンピュータ資源を 使用したサービスを複数の顧客にネットワーク経由で供給します。また、 SaaS(Software As A Service)という言葉も ASP と同義と考えることができます。
アプリケーションをネットワーク経由で利用する形態は今に始まったことではなく、 例えば、メールのホスティング・サービスなども定義から言えばASPになります。 ただ、今注目を集めているのは、日常のビジネス・プロセスを支援する 業務アプリケーションがネットワーク経由で利用できるようになってきたからです。
概念的には以前から考えられていましたが、実際にはネットワーク・コストや アプリケーション処理性能の面で実用に至らないケースがほとんどでした。 しかし、ADSLや光ファイバー通信の普及とコンピュータ関連機器の 性能向上や低価格化で、本来の潜在的顧客である中小企業に対する 業務アプリケーションのサービスが魅力あるものに変わって きました。
ASPは、ソフトウェアの複雑性やコストを低減させ、投資を正当化できなかった 組織にもサービスを供給することを可能にします。顧客は、使用量に 応じたサービス料金を支払うだけで、コンピュータの導入や維持管理の コストを心配する必要ありません。また、サービス需要の変化にも柔軟に対応する ことができます。
今はグループウェア、営業支援、原価管理などの領域で、 ASPを導入する企業が増えているようですが、 顧客のアプリケーションを稼働させるプラットフォームだけを ネットワーク経由で提供するPaaS(Platform As A Service) が 普及することで、顧客のアプリケーションが SaaS のアプリケーション 機能と連携できるようになり、さらに多くの領域で適用されるであろう と期待されています。
次回は、2009/7/25 の予定です。