ITIL 徒然草

アプリケーション・サービス供給


クラウドという言葉を、ITの世界で良く見かけるようになりました。 システム構成図の中でネットワークは雲(クラウド)のような図形が 使われることが多く、そのネットワークの向こう側にあるコンピュータ資源を 利用することからクラウド・コンピューティングと呼ばれています。

アプリケーション・サービス供給(ASP:Application Service Provision) もこのクラウド・コンピューティングの一つであり、基本は共通のコンピュータ資源を 使用したサービスを複数の顧客にネットワーク経由で供給します。また、 SaaS(Software As A Service)という言葉も ASP と同義と考えることができます。

アプリケーションをネットワーク経由で利用する形態は今に始まったことではなく、 例えば、メールのホスティング・サービスなども定義から言えばASPになります。 ただ、今注目を集めているのは、日常のビジネス・プロセスを支援する 業務アプリケーションがネットワーク経由で利用できるようになってきたからです。

概念的には以前から考えられていましたが、実際にはネットワーク・コストや アプリケーション処理性能の面で実用に至らないケースがほとんどでした。 しかし、ADSLや光ファイバー通信の普及とコンピュータ関連機器の 性能向上や低価格化で、本来の潜在的顧客である中小企業に対する 業務アプリケーションのサービスが魅力あるものに変わって きました。

ASPは、ソフトウェアの複雑性やコストを低減させ、投資を正当化できなかった 組織にもサービスを供給することを可能にします。顧客は、使用量に 応じたサービス料金を支払うだけで、コンピュータの導入や維持管理の コストを心配する必要ありません。また、サービス需要の変化にも柔軟に対応する ことができます

今はグループウェア、営業支援、原価管理などの領域で、 ASPを導入する企業が増えているようですが、 顧客のアプリケーションを稼働させるプラットフォームだけを ネットワーク経由で提供するPaaS(Platform As A Service) が 普及することで、顧客のアプリケーションが SaaS のアプリケーション 機能と連携できるようになり、さらに多くの領域で適用されるであろう と期待されています。

次回は、2009/7/25 の予定です。

第77話 第79話

演習システム試用版


目次

既知のエラー

(2009/8/10)

管理とコントロール

(2009/7/25)

アプリケーション・サービス供給

(2009/7/10)

BPOとKPO

(2009/6/25)

コソーシングと
マルチソーシング

(2009/6/10)

サービス提供モデル

(2009/5/25)

資格試験の出題範囲

(2009/5/10)

V3 で表現が変わった概念

(2009/4/25)

コア書籍コンテンツの構成

(2009/4/10)

戦略的サービスマネジメント

(2009/3/25)

サービスマネジメントの構造

(2009/3/10)

ITIL V3のコンセプト

(2009/2/25)

ITIL V3の特徴

(2009/2/10)

サービス・パッケージ

(2009/1/25)

サービス・モデル

(2009/1/10)

サービス・プロバイダ・タイプ

(2008/12/25)

プロセス成熟度フレームワーク

(2008/12/10)

IT運営委員会(IT戦略委員会)

(2008/11/25)

組織の発展

(2008/11/10)

戦略の4つのP

(2008/10/25)

会計

(2008/10/10)

コスト構造の可視化

(2008/9/25)

財務上の計画立案

(2008/9/10)

財務管理

(2008/8/25)

需要管理2

(2008/8/10)

サービス・ポートフォリオ管理

(2008/7/25)

ビジネス・ケース

(2008/7/10)

サービス・ポートフォリオ

(2008/6/25)

需要管理

(2008/6/10)

サプライヤ管理

(2008/5/25)

サービス・カタログ管理

(2008/5/10)

サービスナレッジ管理システム

(2008/4/25)

ナレッジ管理

(2008/4/10)

評価

(2008/3/25)

サービスの妥当性確認とテスト

(2008/3/10)

移行の計画立案と支援

(2008/2/25)

サービス移行

(2008/2/10)

アクセス管理

(2008/1/25)

イベント管理

(2008/1/10)


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