ITIL 徒然草

問題管理


問題管理は、インフラストラクチャに存在するエラーがビジネスに 与える悪影響の回数と深刻さを 低減させる役割を担うプロセスです。 そのために実行すべきことには、以下のような活動があります。

  • 過去の調査結果を整理して、再発時の調査や診断に役立てる
  • ワークアラウンドや解決策を提示して、ビジネスへの悪影響を弱める
  • エラーを除去することで再発を防止する
  • インシデントが起こる可能性を発見し、発生前に排除する


  • このプロセスを理解する上でキーとなるのは、インシデント管理プロセスとの関係です。 何故かと言えば、インシデント管理が求めるリソースと問題管理が必要とするリソースは 競合するからです。事実、一般的な組織においてインシデント管理の活動と 問題管理の活動は混在しています。

    さらに、2つのプロセスには相互依存の関係があります。つまり、良いインシデント管理は 問題管理の負担を軽減できるし、問題管理が機能していればインシデントの発生を 抑制できるのです。

    例えば、インシデント管理が質の高い恒久的なソリューションを提示できれば、 顧客やユーザは再び同じ問題で頭を悩ますことはありません。すなわち、問題管理が 改めてその問題を調査する必要はなく、事実を整理して記録すればよいのです。

    一方、問題管理がより良いワークアラウンドを発見し示すことができれば、インシデント管理は 即座にそのソリューションをユーザに提供できますし、インシデントの発生や再発を予防 できれば、インシデント管理の負荷を減らすことができます。

    問題管理の導入における課題は、インシデント管理と問題管理間の リソースの競合をいかに解消するかです。 問題管理の活動は、通常、相対的にスキルの高い専門家 グループに任されますが、何の配慮もなされなければ、専門家グループに多大な 負担を強いることになりかねません。 活動のために必要な資源を確保できるマネージメントに、問題管理の価値を理解してもらう必要があるのです。

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