ITIL 徒然草

構成管理


既存の構成アイテムのバージョンを識別、コントロール、維持、 検証することにより、インフラストラクチャと サービスの論理モデルを提供する。
(サービスサポート P121)

これは、構成管理の最終目標です。ITILは比較的1つの文が長く、分かりにくい表現が多いのですが、この文章も例外ではありません。特に、 「インフラストラクチャとサービスの論理モデル」が何なのかを 理解するのには時間がかかりました。

「インフラストラクチャとサービスの論理モデル」とは、 インフラストラクチャと
サービスの情報や、それらの関係に関する情報を 意味しています。 つまり、
ハードウェアの構成やそのマシンで稼動しているソフトウェアの 情報、そしてそれらの環境から供給されるサービスに関する情報などを指しているのです。その中には運用手順書など文書に関する情報も含まれます。

供給するサービスの品質を合意したレベル以上に保つためには、そのサービスを 供給している環境に関する情報が、正確で最新でなければなりません。
言い換えれば、稼働環境やサービスに関する情報をメンテナンスして、常に最新で正しい情報を他のスタッフに提供することが、構成管理の最終目標なのです。

システムを管理している以上、どんな組織にも構成管理プロセスは存在します。 ただ残念なことに、それが個人レベルでなされていたり、責任が明確でないために 古い情報しか記録されていなかったりします。

それらは、障害を引き起こす原因になりますし、事実関係の整理に手間取り復旧時間が長引いたり、障害の原因追求に時間がかかったりするわけです。

ITILのベストプラクティスに従って構成管理を実践しようとする際、ツールを 導入することが最終目標だと思われがちですが、運用に必要なデータが適切に 共有され、管理されることが重要であることを見逃してはなりません。

高い品質のサービスが供給できる運用をするために必要な情報と その情報を最新に保つ手順について、利害関係者が 話し合って、あるべき理想の姿について共通の認識を持つことが必要です。

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