ITIL 徒然草

インシデント・コントロール


第7話において、サービスデスクにはインシデントをコントロールする 役割があると述べました。一方、ITILにはインシデント管理というプロセスがあります。 インシデント・コントロールとインシデント管理には、どのような関係があるのでしょうか?

サービスデスクは、障害の報告やサービス要求をインシデントとして記録します。 さらに、ビジネスの要求に沿ってインシデントを処理し、顧客やユーザの了承を得て そのインシデントをクローズします。これがインシデント・コントロールです。

すなわち、インシデント・コントロールとは、インシデントが合意された手順に従って 適切に処理されるように、インシデントへの対応状況を監視し、担当すべきスタッフや 組織にインシデントを受け渡していく活動です。

インシデントをコントロールする際には、以下の問いに答えてくれる、 インシデントを効率的に収拾するための指針が必要です。

  • どのインシデントを優先的に処理するか?
  • インシデントの解決のために、どのリソースがどんな役割を果たすのか?
  • どのような順番とタイミングで、それらのリソースを投入するか?


  • これらの問いに答えてくれる方針や規則を決定するのがインシデント管理です。 インシデント管理はインシデントをコントロールする 次に示す項目に関する規則や手順をビジネスの要請に見合ったものであり、 有効で効率的なものにすることで、自らの責任を果たします。

  • インシデントのカテゴリや分類基準
  • 優先度の設定方法や手順
  • エスカレーションのルールや手順


  • インシデント管理は組織としてインシデントを効果的に処理する枠組みを決定する 権限と責任を持っているプロセスであり、インシデント・コントロールは その枠組みの中でインシデントを実際に処理する活動なのです。

    第10話 第12話