アプリケーション管理では、要件定義、設計、構築、展開、運用、最適化といった アプリケーションのライフサイクル全体を通じて、アプリケーションをどのように 取り扱うべきかが論じられています。
サービスマネジメントの目的は、事業目標を達成するためにITサービスを供給する仕組みを 最適化することです。しかし、ITサービスを供給する仕組みの中にはICTインフラストラクチャや アプリケーションがしっかりと組み込まれています。ICTインフラストラクチャに関しては 前回述べましたので、今回はアプリケーションの番です。
アプリケーション管理とは、アプリケーションの開発と運用を総合的に 管理することであり、事業とITの目標達成をより確実にするものです。
IT業界は従来から、サービスの作成とサービスの提供を分けて考えていました。 しかし、この方法は開発部門と運用部門の間に断絶を生み、必ずしもうまく機能 しませんでした。 この2つ領域を相互に関連する部分として捉え、ライフサイクル全体 を通して整合性を取ろうというのがITILのアプローチです。
ライフサイクルとは、アプリケーションが構想されてから 廃棄されるまでの期間です。本の中では、 要件定義から構築までをアプリケーション開発、 展開から最適化までをサービスマネジメントとして 説明しています。
アプリケーション開発はサービスを作成する活動であり、 以下の3つのプロセスがあります。
サービスマネジメントはサービスを提供する活動であり、 以下の3つのプロセスがあります。
サービスの作成と提供に関して適切な注意が払われるようにする ためには、、ライフサイクルのあらゆる段階で、開発と運用部門が 緊密に協力し合う必要があります。
この両者がライフサイクルの各段階で注目すべき項目は、
「第5章 アプリケーション管理の ライフサイクル」に記されています。
もう一つ重要な考え方として、アプリケーション・ポートフォリオ という概念が出てきます。アプリケーション・ポートフォリオは アプリケーションを企業資産とみなし、その主要な 属性を専門外の人にも分かるように整理したものです。 主要な属性には、以下のような情報が含まれています。
これらの情報が誰にでも理解される形でタイムリーに示されることで、経営者は アプリケーションに関してより適切な事業上の決定を下すことができます。
また「第6章 役割と機能の整理」には、プロジェクト・チームが成功する ための秘訣が まとめられています。「チームの力学」、「最終目標と測定基準」、 「コラボレーションとナレッジマネジメント」に記載されていることは、 アプリケーションの開発チームに限らず、すべてのプロジェクトに当てはまる 普遍的な経験則であるように思われます。