この数年間、ITILの認知度が急激に高まり、サービスサポートやサービスデリバリへの 理解が深まる一方で、ITILを構成する他の書籍群に対する認知度はまだまだ 不十分であるように思います。
ITサービスの品質を管理することの重要性を主張するITILですが、その基盤となる インフラストラクチャやアプリケーションが十分にコントロールされていなければ、 サービスの品質を維持することはできません。ICTインフラストラクチャ管理には、 顧客が求めるITサービスを下支えする情報基盤を決定、展開、運用する際の考慮点が 述べられています。
組織の視点から解釈すると、主に情報基盤技術を支援している部門で行われている プロセスに目が向けられています。そして、情報基盤を整備する以下の5つの プロセスが取り上げられています。
このうち、設計と計画立案のプロセスは一つの章にまとめられています。 この2つのプロセスの最終目標は、現在と将来のビジネス要件を満たす ICT 戦略やアーキテクチャを策定することです。サービスデリバリの 各プロセスと整合性を取りながら、インフラストラクチャの枠組みを 決定していきます。
展開プロセスは、ICTインフラストラクチャ・ソリューションを開発し、 導入するプロセスです。変更管理によって承認されたソリューションの基盤部分を、 リリース管理が定めたルールに従って展開するプロセスです。通常は、 アプリケーションを稼動させる基盤を導入するプロジェクトとして遂行されます。
運用プロセスは、インフラストラクチャの運用や保守管理を行うプロセスです。 バックアップやメディアの管理なども含まれます。ビジネスへのインパクトに 注意を払いながらインシデントや問題を管理するサービスサポートに対して、 インフラストラクチャの稼動状況を監視し、ルーチン化された日々の管理業務を 実行するプロセスです。
技術サポート・プロセスは、情報基盤技術の領域において 他のプロセスの活動を支援するプロセスです。ICTインフラストラクチャ管理 における設計と計画立案、展開、運用の各プロセスはもちろんのこと、 サービスサポートやサービスデリバリのプロセスも支援します。
例えば、インシデント管理における3次サポートや問題管理における根本原因の 調査や診断などは、サービスサポートにとって不可欠なプロセスです。 また、可用性管理やキャパシティ管理などの活動を技術面から支援するプロセス でもあります。
ICTインフラストラクチャ管理は、サービスサポートやサービスデリバリの 各プロセスとの関連性にも言及しながら、情報基盤を整備するプロセスの ベストプラクティスを紹介しています。